岩本亜希子さん('97岡谷南高卒 早稲田大4年)
シドニーオリンピック(LW2x)出場決定!

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「岩本 シドニーへ」
 ボート県勢 女子で初代表
日本ボート協会は十九日の理事会で、シドニー五輪日本代表選手を決めた。昨年の世界選手権とアジア選手権で出場資格を獲得した男女三種目での出場となり、代表選手は軽量級男女ダブルスカル各二人、同男子かじなしフォア四人の合計八人。期待が高い軽量級男子ダブルスカルは、昨年の世界選手権七位に入った武田大作(ダイキ)、長谷等(中部電力)のペアで、二人は二大会連続の五輪出場。同女子ダブルスカルは早大四年の岩本亜希子(岡谷南高出)が、アトランタ五輪代表の吉田理子(明治生命)とともに選ばれ、五輪初出場が決まった。同男子かじなしフォアの田辺保典(NTT東京)は三大会連続出場。
 岩本亜希子選手(21)は、岡谷南高から早大に進み、力をつけた。今年は五輪出場選手選考レースの全日本選手権と世界選手権選考会で優勝。スイスのW杯のダブルスカルで十二位に食い込み、県内出身の女子ボート選手では初の五輪出場を射止めた。朗報を受けた家族や、県内のボート関係者は快挙達成に喜びを表明した。

 岩本選手は、中学時代は水泳に取り組んでいたが、高校に入ってボートを始めた。高校時代から頭角を現し、早大進学後に日本のトップ選手に成長。企業選手と違い環境に恵まれない中で、独自に体調管理にも気を配り、国内大会で相次いで優勝。W杯(今月十四日から三日間)では、吉田理子選手(明治生命)と組んで、日本選手の中で最高成績を上げた。

 諏訪市渋崎の自宅で朗報を聞いた父親の賢一さん(53)は、「私たちにとっても夢のよう。諏訪湖で練習した選手が五輪に出場すれば競技人口拡大にもつながる。多くの人にボートをやってほしい」と喜びを口にした。海外のレースにも足を運び、娘に声援を送ってきた母親の君子さん(52)は子供の頃のエピソードを交えて、「運動神経が良くない子がここまでやれたのがうれしい」と声を弾ませた。

<2000/7/20付 長野日報より>

「岩本選手、五輪代表に」
ボート県勢女子で初
日本ボート協会は十九日、シドニー五輪代表選手を発表し、県勢では岩本亜希子選手(21)=早大・岡谷南高出=が選ばれた。ボート五輪で五輪代表になったのは、日本がボイコットした一九八〇年の幻のモスクワ五輪代表の岩波健児選手(下諏訪町役場)ら三人がいたが、女子では初。岩本は軽量級ダブルスカルに出場する。

 岩本は172センチの長身で、高校時代から将来性を買われていた。一九九八年アジア大会の軽量級ダブルスカルで銀メダルを獲得するなど、順調に力を伸ばした。八月上旬の世界選手権(クロアチア)に向け、現在は欧州で合宿練習している。

<2000/7/20付 信濃毎日新聞1面より>

"諏訪湖育ち"夢舞台
〜軽量級ダブルスカル 岩本五輪代表決定〜
 日本ボート協会は十九日の理事会で、シドニー五輪の代表八選手を選んだ。
世界とのレベル差が大きい男子かじなしペアなどの種目で出場枠を返上したため、すべて軽量級の代表となった。男子かじなしフォアでは五輪三大会連続となる田辺保典(NTT東日本東京)が選ばれた。
監督を務める鈴木壮治・強化委員長は「シドニーでは、男子は決勝進出を目指す。女子はB決勝(7-12位決定戦)までいってもらいたい」と抱負を述べた。

代表選手は次の通り。
【男子】
軽量級かじなしフォア 田辺保典(33)=NTT東日本東京、佐藤寛弥(23)、小畑篤(26)=以上三洋電機滋賀、村井啓介(26)=中部電力 ▽軽量級ダブルスカル 武田大作(26)=ダイキ、長谷等(26)=中部電力
【女子】
軽量級ダブルスカル 岩本亜希子(21)=早大、吉田理子(24)=明治生命


入賞目指し 意欲満々

 諏訪湖育ちのボート県勢から、女子の五輪代表が誕生したのは初めてだ。
 岩本の心に、五輪が強烈なイメージとして刻まれたのは一九九二年だった。当時、競泳選手だった中学二年の岩本は、バルセロナ五輪女子二百メートル平泳ぎで同じ年の岩崎恭子の金メダル獲得に、あ然とした。「え、本当。世の中にはすごい人がいるもんだ」

 「私もいつか五輪に出てみたい」。漠然とした思いだったが、岡谷南高校へ進んだ岩本は「どうせやるなら強いところで」と伝統あるボート部を選んだ。

 身長が170センチ近くあった岩本に、高校時代から大いに注目したのが同校OBの藤森周二コーチだ。「将来のことを考え、別枠で育ててみたいと思った」という。国内レベルにとどまることなく、国際舞台に立てる選手へと成長してくれることを願った。

 高校生の国内レースは千メートルで行われる。一方で、高校生も出場できる世界ジュニア選手権は二千メートルで争う。距離は単純に二倍だが、レースは全く別のもの。ペース配分、終盤のスタミナ、駆け引きなど、より高いレベルで要求される。岩本にそれを求め、練習メニューを組んだ。

 世界ジュニア選手権に照準を定めて長い目で練習に取り組み、三年の時に目標を達成した。結局高校時代は全国大会で優勝できなかったが、二千メートルを漕ぎきるために培った力は、大学に入ってすぐに生きる。一年目の岩本が乗った早大のダブルスカルは、全日本選手権など国内の主要大会をすべて制した。

 不安は高校時代から抱えていた腰痛だった。ボート選手には致命傷になりかねない。しかし、練習を続けながら地道に治療し、「今は大丈夫」という。オーバーワークから今年二月には右、四月には左のあばら骨を疲労骨折するけがもしたが、乗り越えて代表の座をつかんだ。

 体の線が細かった高校時代に比べ、だいぶ筋力がついてきた。それでも全日本の強化選手の中で目立つほどではない。だが、ボートに乗った時に力を発揮する。日本協会の大林邦彦コーチは「センスとバランスがいい」と評価する。

 五輪の軽量級ダブルスカルで吉田理子(明治生命)と組む岩本は「入賞ぐらいを目指していきたい。強い国の選手達に『こいつらやるなあ』と思わせたいですね」と意欲満々だ。持ち前の負けん気の強さで挑む。

岩本亜希子(いわもとあきこ)
岡谷南高でボートを始め、3年生の時に世界ジュニア選手権出場。早大1年の97年はダブルスカルで全日本選手権など国内主要大会で連勝。98年アジア大会の軽量級ダブルスカルで銀メダル獲得。99年は世界選手権軽量級シングルスカル11位、アジア選手権優勝。今年は6月の全日本選手権シングルスカルを制した。172センチ、57キロ。21歳。諏訪市出身。
<2000/7/20付 信濃毎日新聞24面より>


岩本 五輪代表候補に
〜ボート選考会 ダブルスカル優勝〜
 ボートのシドニー五輪と世界選手権の派遣選手選考会は十九日、埼玉県の戸田漕艇場(二千メートル)で男女の軽量級ダブルスカルのレースを行い、女子は岩本亜希子(早大・岡谷南高出)と内山佳保里(デンソー)の日本選抜Aが7分29秒15で優勝した。同種目は岩本ら四人が五輪代表候補に決まり、最終選考会のワールドカップ(W杯)ルツェルン(スイス)大会(7月14−16日)に派遣されることになった。

 日本がシドニー五輪に派遣する種目は、男子軽量級のかじなしフォアとダブルスカル、女子軽量級のダブルスカルの3種目。かじなしフォアの代表候補八人の中には池田竜雄(トヨタ・岡谷南高−中大)も入った。

「4人の中から一番速い組を」
○…女子軽量級ダブルスカルの五輪選手選考について、日本協会の大林コーチは「四人の候補をもう一度白紙に戻し、選手を入れ替えながら一番スピードの出るクルーを編成する」としている。今回の日本選抜クルーのペアリングは、今月上旬に全日本選手権があったため、明治生命の選手同士が組み、岩本は内山とペアになった。個々の力だけでなく、お互いの相性を考えながらクルーを編成し、七月中旬のW杯の成績を踏まえて決定する方針だ。
猛練習「切符」へ一直線

女子軽量級ダブルスカルでシドニー五輪出場を目指す岩本が、代表入りに大きく前進した。この日は内山とペアを組み、明治生命クルーの日本選抜Bを1500メートル手前で逆転して逃げ切った。岩本は「頭(1位)を取れるとは思っていなかった。自分たちの漕ぎに集中しただけ」と満面の笑みだった。

 ナショナルチームの合宿では、明治生命クルーに勝てなかったという。「どんな時でも半艇身から一艇身の差があった」と岩本。しかも、内山が五月に体調を崩し、二人で乗艇練習できるようになったのが今月八日から。その間、シングルスカルで練習した岩本は今月四日の全日本選手権で優勝。それが大きな弾みにもなった。

 岡谷南高時代には世界ジュニア選手権に出場し、172センチの長身は将来を嘱望された。大学ではダブルスカルで全日本選手権を制したり、九八年アジア大会で銀メダルを獲得するなど、着実に力をつけた。

 バランスの良さが持ち味。合わせて人一倍負けん気が強い。サバイバルレースとなったナショナルチームに残るため、努力は並大抵ではなかった。今年の二月と四月にろっ骨を疲労骨折した。「練習しないと不安になる。次の合宿で落とされるんじゃないかという不安を解消しようと、頑張りすぎた」と振り返る。

「大会を重ねるごとに、五輪を狙えるところにいるのが実感できる。目の前の大会を越えていきながら五輪に出られたらうれしい」。まっすぐに前を見つめる岩本の表情は充実感に満ちていた。

<2000/6/20付 信濃毎日新聞24面より>


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