高知国体への出場権を決める北信越ブロックの予選会は、荒天による順延を重ね、成年勢がエルゴメータによる決定戦を行うという前代未聞の結末となりました。もう脱力感でイッパイです・・・・・
8月18日(日)戸田から美浜入りする松崎選手(明治大)を除いて、選手団は大型バスにて7:00に下諏訪艇庫を出発。大きな渋滞もなく、いたって順調に会場到着11:30。 台風の影響かやや風が強めで、波のあるコンディション。リギングの早く終わったシングルスカル勢から順次出艇するも、コース内の波が厳しく、桟橋付近でリギングの確認のみ。しばらくするとやや風が収まり、レーンで漕げる状況に。各クルーとも丁寧にリギングとコースの確認を行った模様。
8月19日(月)昨日に引き続き早朝から風が強い。6時に一旦「予定通り実施」の判断が下されたものの、会場に到着してみると、コース上はウサギ(白波)が跳ねている有様。開始時間を遅らせて9時まで様子を見ることになった。8時半。風はますます強くなる。どう見てもレースができる状況にない。案の定またも開催延期の連絡。「3時まで待って5時からレースできるかどうかを判断。ムリなら明日まで延期」とのこと。一足早く宿舎に戻っていた選手団は、とりあえずそのまま待機。万一に備えて延泊の手配も。本日の湖上館「PAMCO」はすでに4部屋の予約があり、選手団の一部は向かいの超高級旅館に移動することになった。分宿とは言え最短距離で確保できたのが不幸中の幸い。
荒れ狂う波のスタート地点昼過ぎにコースと艇の設置状況を確認に向かうが、スタート付近は荒れ狂う白波。ステッキボートは沈没。とてもじゃないが今日中に回復するとは思えない。明日への延期を覚悟して、午後は各クルーで軽く体を動かすことにする。
3時。やはり「明日に延期」とのこと。しかも風が弱まる気配なし。天気予報でも明日まで風が残りそうな気配。
自然が相手のアクシデントで誰の責任でもないとは言え、これだけ待たされるのは精神的に辛い。他県では明日への延期で出場を取りやめるクルーも出たようだ。明日もムリなら仕切直しが必要だ。大会本部は一体何を考えているのか?どうも現場の厳しさが伝わっていないような気がしてならない。
8月20日(火)早朝4時半。偵察部隊がコースを視察。「今日も厳しい」との情報。大会本部関係者から「コース設定を変更(1500m地点からスタートの順風コンディション)して、どうしても今日中にレースを行う方向」との連絡。「8時に状況判断。最悪の場合、距離を500mに短縮してでもレースを行う」とのこと。だんだんワケが分からなくなってきた・・・。先発のスカル組から「コース状況サイアク」の第1報。それでももう後がないので、全員で宿舎を出発。数々のムリを聞き入れていただいた湖上館「PAMCO」のスタッフの方々、本当にお世話になりました。感謝デス!
さて、会場着。波はバシャバシャ。これでは500mすら怪しい。競漕委員会から青木強化部長へ今後の日程の打診。「夕方4時まで待つか、エルゴによる決定戦か」の方向で動いているらしい。現場サイドでは「エルゴ・・・本気か?」の気持ちを隠しきれない。待つのも既に限界を超えているが、「エルゴだけは納得できない」と全員一致で反対する旨を確認する。他県の詳細は分からないが、「午後まで順延。最終判断15時」とのアナウンス。ただし「エルゴによる・・・云々」の言葉がやはり引っかかる。この時点で、成年女子シングルの松崎選手を戸田に帰すことにした。当たり前のことなのだが、インカレ直前の非常に大切な時期に、これ以上引き留めるわけにはいかないとの判断だ。すでに精神的にも限界を超えている。やむを得まい・・・。
午後の最終決定まで、会場近くの小学校体育館が開放されるとのことで移動。しかし昼食も必要とのことでバスでの移動を余儀なくされる。選手の中にはいらだちを隠せない者もいる。他県も同じ状況とは推測するものの、雰囲気的にはマズイ感じだ・・・
3時。風は一向に収まらず。エルゴの決定を覚悟して会場へ。「やむを得ない」と思う反面、「何かがおかしい」との気持ちも拭いきれない。
競漕委員会よりアナウンス。「水上でのレースは困難な状況。日程の延期もこれが限界。やむなくエルゴで決定したいので、監督は集まってもらいたい」。やはりエルゴなのか?監督を集めて、競漕委員会から経緯の説明。「日程変更、会場変更、抽選などあらゆる可能性を検討したが、もう手段がない。国際的にも認知されたエルゴメータによる競漕で出場権の決定を代用させてもらえないか」とのこと。事情は十分理解できる。しかし現場の声は反対が相次いだ。特に高校生の指導者の必死の訴えもあり、再度協議へ。
結局、少年部門は、夕方遅く、もしくは明日の朝まで延ばしてでも、水上で決着をつける方向で合意された。しかし成年は仕切直しを強く要求したもののエルゴメータ1000mでの競漕と決定されてしまった・・・・。事情は理解できるが、納得はできない。とはいっても決定は覆らない。選手に事情を説明し、エルゴに向けて調整を行う。
エルゴメータによる決定戦。案の定、長野の成年勢は一つも本国体への出場権を獲得できなかった・・・。水上でのレースであれば十分に可能性のあったM1xは体重差と、力任せのスプリントにねじ伏せられた。W1xに至っては、結局エルゴを引くこともできなかったワケだ・・・。こんなことが許されて良いのだろうか? あきれかえって言葉も出ない。かといって、どこにこの不満をぶつければいいのか?
少年勢の決定があくまでも水上で、となったのがせめてもの救い。急遽手配された宿舎で、不自由ずくめの環境だが、地元以外はみんな同じ状況。へこたれずに明日に臨んで欲しい。成年勢はもうこれ以上の延泊は困難とのことで、エルゴ終了後に会場を出発した。不完全燃焼の気持ちを抱えたまま・・・
[02/09/02追記] 上記「体重差と、力任せのスプリントにねじ伏せられた」の表現について、関係者の方から「他県の選手を批判する内容に受け取れる」とのご指摘を頂きました。確かに言葉が足りず、誤解を招く表現であったと思いますので、執筆者の意図について補足しておきます。
「体重差と、力任せのスプリントにねじ伏せられた」の真意は『エルゴメータの値は、もともと体重と大きな相関があることが知られている。また発揮されるパワーを水上での効率を加味せずに反映するため、一般にパワーに偏重したスコアになりやすいことも周知の事実。だからこそ「エルゴで決定したい」という競争委員会の方針に対して、あんなにも多くの反対意見が出たのではないのか? どんな言い訳をしようとも、エルゴと水上のパフォーマンスは似て非なるモノだということを皆が認めたのではないか? 然るに諸処の事情を汲んでも、最終的にエルゴメータによる選考という決定を下したことは、ロウイングの意味を否定した選考だったと言われても仕方がない。これこそが今回の最大の問題なのではないか?』という点にあります。
今大会は前代未聞のアクシデント続きで、私自身も冷静さを失ったままこのレポートを書いたこともあり、表現が軽率になってしまいました。「体重と力任せのスプリント」とは「不条理な選考方法の変更」を象徴する言葉と解釈していただければと思います。今回の選考方法で、もっとも納得できない思いをしたのは、ほかならぬ選手達だということを無視するような表現になってしまいましたが、選手個人の資質を非難・中傷するつもりは毛頭ありません。不快な思いをされた選手の方々に対しましては、この場を借りてお詫びいたします。
それにしても、不満の矛先は、やはり大会主催者サイドに向けざるを得ません。その一方で、このような事態は、運営サイドも予期せぬ状況の中での対応を迫られ、その時にはベスト、ベターに思えても後から振り返れば「やはりこうすべきだった」という判断を下してしまった典型的ケースだったとも思います。そして(私を含めた)多くの参加選手・監督が代表者への説明の場で今回の選考方法を(多くの不満は残しながらも)承諾し、それによってブロック代表か決定したわけですから、それに対しては異議・不服を唱えるべきでないことも承知しているつもりです。しかし、だからこそ、この苦い教訓を忘れることなく、2度と繰り返さないための足跡として残しておくことは、決して無意味なことではない、いやむしろ必要なことなのではないかと思うのです。主催の関係者の皆様にとっては厳しいコメントが綴られたレポートとなりますが、これを機に次回以降への良き教訓として活かされれば、選手にとっても今回の(そして次回以降の)運営関係者にとっても決してムダにはならないのではないでしょうか?
以上の補足に関するご意見・ご要望はこちらまでお願いします。
8月21日(水)昨日の決定に疲れ果てて諏訪に戻ってきました。でも高校生は今日が最後の勝負。メールによるとどうやらレースは行われそうとの情報。本国体への出場クルー、およびレース結果は下記の通りです.結局コンディションは悪い中で、レースは1000mで実施。ただし男子ダブルスカルは、レーン侵害のクレームが出て、いったんは再レースの決定が下ったらしい。しかし、またもコンディション悪化で実施できず、最初のレース記録も出ないまま、(当然クレームも却下される形で)代表が決定したようです。
もういい加減にしてしてくれーって感じデス。
以上の結果、長野県勢の本国体出場クルーは、全県出場の成年男子フォアの他は、少年男子舵手付クオドルプルのみとなりました。
高知国体 北信越ブロック出場クルー | |
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成年男子舵手付フォア | 富山 福井 石川 長野 新潟(全県出場) |
成年男子ダブルスカル | 富山 福井 |
成年男子シングルスカル | 富山 福井 |
成年女子舵手付クオドルプル | 富山 福井 |
成年女子シングルスカル | 富山 福井 |
少年男子舵手付クオドルプル | 富山 福井 長野 |
少年男子ダブルスカル | 富山 福井 新潟 |
少年男子シングルスカル | 富山 福井 |
少年女子舵手付クオドルプル | 富山 福井 |
少年女子シングルスカル | 福井 新潟 |
少年女子シングルスカル【決勝】 順 1000m 500m (石川)小松高 (新谷) 5 4:58.21 2:24.28 (福井)福井選抜 (原田) 1 3:58.19 1:54.63 (新潟)阿賀黎明高(伊藤) 2 4:12.94 2:00.62 (長野)長野選抜 (渡辺) 4 4:28.74 2:07.89 (富山)八尾高 (恒川) 3 4:18.83 2:04.88 |
少年男子シングルスカル【決勝】 順 1000m 500m (新潟)阿賀黎明高(井黒) 4 3:51.70 1:48.36 (福井)福井選抜 (前川) 1 3:38.37 1:44.53 (富山)富山選抜 (小林) 2 3:39.60 1:46.48 (長野)長野選抜 (朝倉) 3 3:47.58 1:51.98 (石川)津幡高 (桶谷) 5 3:54.50 1:54.11 |
成年女子シングルスカル【エルゴメータによる決定戦】 順 1000m (石川)金沢大 (伊藤) 4 4:21.0 (長野)長野選抜 (松崎) 棄権 (新潟)新潟大緑悠会(富田) 3 4:05.9 (富山)富山選抜 (河口) 2 3:50.4 (福井)関電小浜 (和多田) 1 3:35.2 |
成年男子シングルスカル【エルゴメータによる決定戦】 順 1000m (富山)富山選抜 (鶴巻) 2 3:09.7 (福井)美浜RC (藪之内) 1 3:03.6 (新潟)新潟RC (佐藤) 4 3:18.8 (長野)長野選抜 (杉村) 3 3:15.5 (石川)加賀梨R.C(奥村) 5 3:37.5 |
少年男子ダブルスカル【決勝】 順 1000m 500m (福井)福井選抜 ? ?:??.?? ?:??.?? (石川)小松高 5 ?:??.?? ?:??.?? (新潟)阿賀黎明高 ? ?:??.?? ?:??.?? (富山)富山選抜 ? ?:??.?? ?:??.?? (長野)長野選抜 4 ?:??.?? ?:??.?? |
成年男子ダブルスカル【エルゴメータによる決定戦】 順 S B (石川)石川選抜 棄権 (新潟)新潟RC 棄権 (福井)関西電力美浜RC 1 3:10.8 3:08.8 (富山)オーピック・富山RC混成 2 3:11.0 3:10.0 (長野)長野選抜 3 3:23.8 3:13.4 |
少年女子舵手付クオドルプル【決勝】 順 1000m 500m (長野)長野選抜 3 3:43.42 1:51.38 (石川)七尾高 棄権 (福井)福井選抜 1 3:36.41 1:42.68 (富山)八尾高 2 3:38.76 1:46.17 (新潟)新潟南高 4 3:52.92 1:53.18 |
少年男子舵手付クオドルプル【決勝】 順 1000m 500m (富山)富山選抜 2 3:11.64 1:32.60 (福井)福井選抜 1 3:08.58 1:31.45 (新潟)新潟南高 5 3:16.10 1:33.70 (長野)長野選抜 3 3:14.00 1:33.16 (石川)石川 4 3:34.30 1:43.21 |
成年女子舵手付クオドルプル【エルゴメータによる決定戦】 順 (新潟)新潟選抜 棄権 (富山)インテック ? (石川)石川セレクト 棄権 (福井)関西電力小浜 ? (長野)長野選抜 3 |
2002長野県国体代表メンバー | ||||
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成年男子舵手付フォア | ||||
監督 | 青木 悟 | フォトウィング | . | 明治大・岡谷南高 |
選手 | 内田 幸裕 | 大和電機 | '99国体JM4+ 4位 | 岡谷東高 |
選手 | 牛山 英俊 | 細川商店 | '02全日本2X 4位,'01全日本社会人2- 優勝,'01軽量級2X 5位,'00アジアMR日本代表ほか | 日大・岡谷南高 |
選手 | 北澤 勝己 | 下諏訪町役場 | '02全日本2X 4位,'01軽量級2X 5位,'00全日本社会人KF 優勝,4- 準優勝ほか | 中京大・岡谷南高 |
選手 | 今井 祐介 | 中央大3年 | '01-02 U23日本代表,'02全日本8+準優勝,'02インカレ8+優勝,'01全日本8+ 4位,'00軽量級8+ 優勝ほか | 岡谷南高 |
選手 | 両角 大介 | 明治大3年 | '00インカレ4+ 準優勝,'99国体JM4+ 4位 | 岡谷南高 |
選手 | 宮坂 哲也 | 東京工業大4年 | '01国体M4+ 5位 | 諏訪清陵高 |
少年男子舵手付クオドルプル | ||||
監督 | 天野 修一 | 岡谷東高教 | . | 筑波大・下諏訪向陽高 |
選手 | 浜 竜也 | 岡谷東高3年 | . | . |
選手 | 高木 良 | 岡谷東高2年 | . | . |
選手 | 横沢 教介 | 岡谷東高3年 | . | . |
選手 | 林 利洋 | 岡谷東高2年 | . | . |
選手 | 金原 康裕 | 岡谷東高3年 | . | . |
補欠 | 小松 佑介 | 諏訪清陵高2年 | . | . |
補欠 | 加藤 和也 | 岡谷南高2年 | . | . |