【特集】岩本亜希子選手・アジア大会出場


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憩い 語らい
ドーハ・アジア大会 ボート競技で銀メダル

岩本亜希子さん 28歳 諏訪市出身

つらくてもやり通したら結果が出る

 「こんなに悔しい銀は初めて」。カタールの首都ドーハで十二月上旬に開かれたアジア大会ボート競技女子軽量級ダブルスカル。大学の後輩に当たる若井江利選手(20)=早大=と組み、ウズベキスタンに次ぐ二位に入ったが、満足していない。自身の三大会連続銀メダルも、悔しさは大きい。

 レースは千メートル。予選では、世界選手権の同種目覇者中国を4秒余り上回るトップタイム(4分30秒45で通過し、「世界チャンピオンに挑戦するという気持ちが、『世界チャンピオンに勝ちたい』に変わった」。決勝は「中国をマークし、最後まで勢いよく、後悔しないように行こう」とレースに臨んだ。

 スタートからトップに立ったが、五百メートル手前で右隣レーンのウズベキスタンが前に出てきた。「スタートダッシュのままという感じだったので、(いずれスピードが落ちて)差せる(追い抜ける)と自信を持っていた」。ウズベキスタンのレースは二千メートルしか見たことがなかったが、いつも後半にべースが落ちていた。

 しかし、ウズベキスタンは踏ん張る。岩本・若井組は残り二百メートルからスパートする予定だったが、残り二百五十メートル手前でかけた。思ったほど差が縮まらない。ラスト百五十メートルで再度加速したが、届かなかった。タイムはウズベキスタンが3分44秒54、岩本・若井組が3分46秒03。王者中国は四位に沈んだ。

 「ウズベキスタンの粘りは予想外だった」。翌日は、負けたレースが夢に出てきて、悔しくて目が覚めたまま眠れなかった。

 諏訪市渋崎出身。諏訪中学校時代は水泳部で、冬場はイラストを描いたり手芸をしたりしていた。中学二年の時、同い年の岩崎恭子選手がバルセロナ五輪の水泳二百メートル平泳ぎで金メダルを獲得し、衝撃を受けた。
「同じ十四年間しか生きてないのに、彼女は輝いていて新聞の一面に載っている。私も輝きたい、誇れるものがほしいと思った」 岡谷南高校(岡谷市)に入学し、姉がやっていたボートを始めた。身長一七〇センチを超える恵まれた体格と負けん気の強さから頭角を現し、三年生の一九九六年、世界ジュニア選手権に出場。二〇〇〇年のシドニー五輪はボート競技の県勢女子として初めて出場、早大、日体大大学院を経て、アイリスオーヤマに所属。〇四年アテネと二大会連続出場を果たした。

 アジア大会から帰国し、冷静に振り返ると、「これまでは中国が圧倒的に強くて、どこか銀で満足していた。今回は『勝ちたい』という思いが強く、気持ちが負けていなかったという点では成長なのかな」と手応えを感じる。一方で、「テクニックではオールを水に入れる素早さを磨かなければいけない。時間がかかるけれど、フィジカル(肉体的な)面ももっともっと強くしたい」。課題もはっきり見えている。

 昨年の冬季練習から週四−五回、筋力トレーニングとサーキットトレーニング(数種の運動を組み合わせて繰り返す訓練法)を導入。ボートをこぐのと同じ動きを練習できる「ローイングエルゴメーター」の記録で今春、瞬発力も持久力も自己ベストを更新した。「つらくてもやり通したら結果が出た。冬トレの励みになる」。今冬はさら厳しいトレーニングを積む予定だ。

 来年は、北京五輪の選考シーズン。強化合宿などを経て、軽量級ダブルスカルに出場する二人が決まる。「今までは次があるとどこかで思っていたけれど、北京は最後になってもいいという気持ちでやっている。意識の部分がかなり違う」。三度目の五輪を目指す冬が始まっている。

【写真】「最後になってもいいという気持ちでやっている」。諏訪湖を望む下諏訪町のトレーニング室で、北京五輪にかける思いを語る岩本亜希子選手

<2006/12/20付 信濃毎日新聞より>

アジア大会女子軽量級ダブルスカルで銀
岩本「力出せ満足」
市長に報告、メダル披露
 カタール・ドーハで開かれたアジア大会で、ボートの女子軽量級ダブルスカルで銀メダルを獲得した諏訪市出身の岩本亜希子選手(アイリスオーヤマ、岡谷南高−早大−日体大大学院出)が十五日、市役所で山田勝文市長に報告し、メダルを披露した。

 岩本選手(二八)は三大会連続出場で三連続の銀メダル。若井江利選手(早大)と組んだ今大会について「終わった瞬間は悔しさでいっばいだったけれど、力は出せたのでいまは満足している」。開会式にも初めて参加できたといい、「盛り上がりがすごかった。アジア大会を満喫できました」と 笑顔で語った。

 山田市長は銀メダルを手にしながら「快挙ですね」とたたえ、「諏訪の出身者がメダリストになってうれしい。五輪で色の違うメダルが取れるよう頑張ってほしい」とエールを送った。

 今後は、北京五輪の出場権がかかる来夏の世界選手権(ドイツ)に照準を合わせるという。

<2006/12/19付 長野日報より>

岩本選手アジア大会ボート女子で銀メダル
「今までで一番悔しい」
 下諏訪 青木町長(県ボート協会会長)に報告
 ドーハ・アジア大会(カタール)のボート女子軽量級ダブルスカルで銀メダルを獲得した諏訪市出身の岩本亜希子さん(アイリスオーヤマ)が十五日、下諏訪町役場を訪れ、県ボート協会会長の青木悟町長に大会の報告をした。

 結果について岩本さんは「今までで一番悔しい銀メダルです」と振り返った。青木町長は銀メダルを手に取って、「こんな大きな選手になるとは思わなかった。ほかにも諏訪湖で育った選手が全国でも活躍してる」と、岩本さんら地元選手の成長を喜んだ。

 また青木町長は「たまには諏訪湖でこぐ姿を見せて」と、来年五月の諏訪湖レガッタ出場に水を向けると、岩本さんも「海外遠征がなければ。十年ぶりになります」と応えていた。 (倉本敦)

【写真】青木町長(左)にアジア大会銀メダルの結果を報告する岩本さん

<2006/12/16付 長野日報より>

岩本 銀メダル 〜アジア大会 ボート女子〜
カタール・ドーハで開かれているアジア大会第6日の6日、ボートの女子軽量級ダブルスカルで岩本亜希子(アイリスオーヤマ、岡谷南高−早大−日体大大学院出)若井江利(早大)組が銀メダルを獲得した。=11面に関連記事

 3大会連続出場の岩本は、前回の釜山大会に続く銀メダルとなる。


岩本組 終盤の追い上げ及ばず ▽…ボートの女子軽量級ダブルスカルで金メダルを逃した20歳の若井は、「悔しい」と言ったきり涙で言葉を詰まらせた。スタートから積極的に飛ばしていく作戦だったが、中間点の500メートル手前で優勝したウズベキスタンのペアに離され、終盤の追い上げもかなわなかった。3大会連続出場で4度目の2位となった岩本は、「ウズベキスタンが意外に落ちてこなかった。表彰式でまた取れなかったんだなと…」と残念がった。(ドーハ時事)

<2006/12/08付 長野日報より>

岩本(ボート)銀 3大会連続 -ドーハアジア大会-
アジア大会(カタール・ドーハ)第6日の6日、ボート軽量級ダブルスカルの女子で、岩本亜希子(アイリスオーヤマ・岡谷南高−早大−日体大大学院出)=写真左、若井江利(早大)組が銀メダルを獲得した。岩本選手の銀は3大会連続。軽量級ダブルスカルの男子では須田貴浩(アイリスオーヤマ)大元英照(仙台大)組が金メダルに輝いた。(共同)【記事28面に】
<2006/12/07付 信濃毎日新聞より>

岩本組 涙の「銀」
県勢 今大会初のメダル
序盤はリード
伏兵に屈す・・・

 女子軽量級ダブルスカルで5連覇を狙った王者中国がまるで伸びない。スタートで飛び出した日本が序盤をリード。28歳のベテラン岩本が「行けると思った」という理想的な展開だったが、思わぬ伏兵が控えていた。

 中間点の500メートル手前でウズベキスタンが首位に立ち、そのままゴールまで突き進んだ。岩本は「差せると思ったけど、思ったほど落ちてこなかった」とぼうぜんとし、20歳の若井は「悔しかった」と涙でほおをぬらした。

 過去2度のアジア大会で計3個の銀メダルを手にしている岩本は「国旗が端で揚がるのを見て、また(金を)取れなかったと思った」。それでも日本女子はこの種目で5大会連続の表彰台。初の主要国際大会だった若井は「これからも頑張ろうというレースになった」と気を取り直した。

【写真】女子軽量級ダブルスカル決勝 2位でゴールする岩本(左)、若井組=ウェストベイ(共同)

<2006/12/07付 信濃毎日新聞より>

ドーハで活躍 県勢 〜岩本亜希子(ボート)〜
久々の自己新 自信
 この春、わずか1秒に大きな喜びを感じる出来事があった。岩本亜希子(アイリスオーヤマ)はエルゴメーターを使った2000メートルのタイム測定で初めて7分20秒の壁を突破。2000年シドニー五輪の前から、ほとんど変わっていなかった自己ベストを約1秒短縮した。  「御柱(おんぼしら)か、というぐらい久しぶりだったんですが、自分の力が伸びていることを確認できた。すごく自信になり、まだ自分自身に期待できる要素があるなと思った」

 昨シーズンが終わってから「今まであまり好きじゃなかった」という筋力トレーニングを積極的にやるようになった成果だ。体脂肪を昨年より約3%落とし、現在は13%に。今年はシーズンに入ってからも過2、3回の筋力トレーニングを続け、体力の上積みを実感している。

 2年前のアテネ五輪は、力を出し切れなかった思いが強い。本番の1カ月前に急性虫垂炎になった。薬で散らしたが、体重は落ち、点滴をしながら練習して臨んだレースだった。「ここで終わりたくない」と、すぐ次の目標を見据えた。

 しかし、昨年も不本意なシーズン。国内で初開催となった世界選手権(岐阜)は、インフルエンザにかかった影響で最終選考会の結果が振るわず、日本が重視する軽量級の種目から外された。本番でも見せ場をつくれなかった。

 「体の状態はボート人生が始まってから一番いいぐらい」と今季の充実ぶりを口にする。08年の北京五輪を集大成にする決意は固まった。「1年1年の積み重ねでシドニーとアテネ五輪があったが、北京で戦うにはどのように年を積み重ねていけばいいか、考えながらやっています」 その過程で迎えるアジア大会。過去2回はともに銀メダル。軽量級ダブルスカルで出場する今回は、世界選手権の同種目を制した中国がおり、「世界チャンピオンに挑戦できる絶好の機会」ととらえる。日本女子チームの最年長にもなり、自覚は高まっている。

【いわもと・あきこ】岡谷南高でボートを始め、3年の時に世界ジュニア選手権出場。早大時代の2000年シドニー五輪は軽量級タブルスカルで14位。04年アテネ五輪は同種目で13位。今年夏の世界選手権は15位。172センチ、57キロ。諏訪市出身。28歳。

【写真】3度目の五輪となる北京を見据えながらアジア大会に臨む岩本亜希子(アイリスオーヤマ)−埼玉県戸田市

<2006/11/28付 信濃毎日新聞より>


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