祝:北京オリンピック LW2X 出場
岩本亜希子選手
メディア各紙の報道1

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特集:北京で輝け 諏訪地方関係5選手

岩本亜希子

競技人生の集大成に

 3度目の五輪を前にして「これまでで一番つらい練習をしてきた。今は勝負が楽しみな気持ちが大きい」。ボート女子軽量級ダブルスカルの岩本は、順調な調整に自信をにじませる。競技人生の集大成と位置付ける北京五輪、日本女子初となる決勝進出に死力を尽くす。

 シドニー、アテネの過去2大会はそれぞれ14位と13位。世界の壁の厚さを思い知らされた。軽量級ダブルスカルで2大会連続6位入賞の男子に比べ、女子は世界に水をあけられたまま。アテネ後は「2度とも結果を出せなかった自分より、若い選手が経験を積んだ方が日本女子は進歩するんじゃないか」と現役続行に迷いも生じた。

 だが、国内では若い選手に負け知らず。この4年間、日本女子代表として継続して国際大会に出場したのは岩本だけだった。経験を積むごとに「私が日本女子ボート界を変える」との使命感が生まれ、これまで以上の厳しい練習を課してきた。

 過去2大会と異なり、年下の選手とペアを組む。同じ早大出身の熊倉美咲(戸田中央総合病院クラブ)どのコンビで、6月のワールドカップ第3戦(ポーランド)で日本女子初の6分台となる6分59秒29を出すなど調子は上向き。2人のオールが調和した時の加速感に「ダブルスカルは相手を生かすことで自分も生きる」と実感している。北京では、ペアと息を合わせるひとこぎ、ひとこぎに競技人生のすべてをかける。

 岩本亜希子(いわもと・あきこ) 岡谷南高進学後にボートを始める。早大在学中の99年アジア選手権で軽量級シングルスカル優勝。00年シドニー五輪に県内女子選手として初めて出場し、軽量級ダブルスカル14位。04年アテネ五輪は同種目13位。06年ドーハ・アジア大会では同種目3大会連続の銀メダルを獲得した。アイリスオーヤマ(本社・仙台市)所属。173センチ、57キロ。諏訪市渋崎出身。29歳。
【写真】3大会連続の出場となる北京五輪でボート日本女子初の決勝進出を目指す岩本亜希子(アイリスオーヤマ)


<2008/07/27付 長野日報 特集記事より>
岩本選手のふるさとに応援幕 その3
岩本亜希子選手の応援幕は地元・諏訪の随所に掲げられております。


諏訪湖スタジアム

岩本選手ご実家の会社前

諏訪市渋崎の某GS

岩本選手のふるさとに応援幕 その2
岩本亜希子選手の応援幕が下諏訪漕艇場前の「錬成の家」にも掲げられました。


下諏訪漕艇場 錬成の家
 


<2008/06/28 長野県ボHPオリジナル記事>
目指せ決勝 岩本選手 諏訪市と岡谷南高 五輪壮行会でエール
 ボートの北京五輪女子軽量級ダブルスカル代表の岩本亜希子選手(二九)=アイリスオーヤマ=を励ます壮行会が二十七日、母校の岡谷南高校と出身地の諏訪市で開かれた。三度目の挑戦となる五輪で日本女子初の決勝進出を目指す岩本選手に、後輩やボート関係者らが熱いエールを送った。

諏訪市:地元小学生が太鼓と大声援

 諏訪市のRAKO華乃井ホテルで行われた壮行会は諏訪市や同市渋崎区、県ボート協会などが主催し、約四百三十人が出席。山田勝文市長は「ヨーロッパの強豪と肩を並べるところまできたと聞き、本番が楽しみ。地元でも皆で心を一つに応援したい」と期待を寄せ、県ボート協会長の青木悟・下諏訪町長は「これまでの経験を生かし、悔いのないレースをしてほしい」と激励した。

 参加者から花束や応援メッセージ入りの日章旗を受け取った岩本選手は「大勢の方に応援していただき、感謝でいっぱい」と温かい励ましに感激した様子。「(六艇が進める)決勝進出を目標に、次に続く選手が希望を抱けるような結果を出したい」と意気込みを語った。

 市内の小学生らによる太鼓の演奏や風船のアトラクションも行われ、子供たちが岩本選手を囲んで「頑張れー」と大声援。詩吟や扇舞の披露、シルクで制作した「克己」の文字入りの額の贈呈もあり、北京での活躍を祈った。(宮坂麻里)

【写真】風船のアトラクションで子供たちから声援を受ける岩本選手=RAKO華乃井ホテル


岡谷南高校:「先輩は誇り、最高の漕ぎを」

 母校の岡谷南高校では、忙しい合間を縫って来校した大先輩を生徒と教職員が激励。岩本選手は「良い結果を北京から持って帰って来たいと思います」と五輪での活躍を誓った。

 岩本選手は、後輩の熱烈な歓迎を受けて体育館に入場した。佐久信雄校長は「先輩のこれまでの活躍は後輩に大きな夢と希望、勇気を与えてくれた。しっかり調整して悔いのない戦いをし、首にメダルをかけて凱旋することを願う」と激励した。

 横山達彦生徒会長が「ぜひ自分にとって納得のいく最高の成績をとってください」と呼び掛け、漕艇部の小口翔平部長は「十二年間日本のトップに立つ先輩は誇りであり目標。最高の漕ぎができるよう応援しています」とエールを送った。

 岩本選手は「十二年前、この校舎で学んでいた時は皆さんと同じ普通の生徒。南高で自分のやりたいことを見つけ頑張ってきたら五輪に三回出れることになった」と振り返り、「今皆さんは可能性の塊。可能性を信じてチャレンジしてほしい。まずはわたしが北京で『こんなに可能性があるんだ』というところを見せたいと思う」と語った。岩本選手は三十日から岩手県で行う日本代表の強化合宿に臨み、八月一日に北京入りする。(浜武司)

【写真】後輩の温かな拍手で会場を後にする岩本選手

<2008/06/28付 長野日報より>

「決勝に進みたい」
北京五輪ボート代表 岩本選手が町役場表敬

 北京五輪ボート競技に出場する諏訪市出身の岩本亜希子選手(二九)=アイリスオーヤマ=が二十七日、下諏訪町役場を表敬訪問した。岡谷南高時代に練習した思い出の同町で、県ボート協会会長でもある青木悟町長に五輪での健闘を誓った。

 町職員が正面玄関前に並び拍手で歓迎。青木町長との懇談で岩本さんは「ここ二年すごい量の練習を積んできた。ボート人生の中で今が一番体が動く。前回五輪よりうまく調整できている。世界の中でもいいポジションにおり、決勝(六クルー)進出の目標を達成したい」と、五輪三大会連続出場の自信をみせた。

 高校時代を振り返り「原点の場所。帰っそくると気持ちがほぐれ、ここから始まったと感じる。皆さんの喜んだ顔を見られるようベストを尽くして頑張ってきたい」と地元の応援に感謝した。

 青木町長は「四年前に比べ自信に満ちあふれている。練習は裏切らない。決勝に進めばメダルも可能性ある。コンディションを整え、平常心でレースに臨んでほしい」と激励した。

【写真】町役場前で職員らの歓迎を受ける岩本さん


<2008/06/28付 長野日報 下諏訪町欄より>
岩本選手母校で健闘誓う
五輪ポート代表 岡谷南高訪問「可能性にチャレンジを」
 北京五輪ボート代表(女子軽量級ダブルスカル)の岩本亜希子選手(29)=アイリスオーヤマ・諏訪市出身=が二十七日、母校の岡谷南高校(岡谷市)や県庁、諏訪郡下諏訪町役場などを訪れ、五輪出場を報告、健闘を誓った。

 同校では、全校生徒約六百人の拍手に迎えられて小体育館に入場した。漕艇部の小口翔平部長(17)=三年=が「三大会連続でオリンピックに出場し、十二年間日本のトップに立つ岩本先輩は誇りであり、目標です」とあいさつ。岩本選手は「普通の生徒だった私が、ボートという目標を持って変わることができた。皆さんは可能性の塊。これから、いろいろなことにチャレンジしてほしい」と呼び掛けた。

 下諏訪町役場では、県ボート協会長でもある青木悟町長に「ここ二年間は特に厳しい練習を積み、精神的にも強くなった」と意気込みを語り、町長は「練習は裏切らない。今まで積んだ経験を自信に変え、レースに臨んでほしい」と激励した。
 この日はほかに、諏訪、岡谷の両市役所を訪問。夜には諏訪市内のホテルで壮行会が開かれた。

【写真】岡谷南高の小体育館で、生徒たちに拍手で見送られる岩本選手


<2008/06/28付 信濃毎日新聞より>
北京五輪ボートの岩本亜希子選手が知事を訪問
 北京五輪でボート女子軽量級ダブルスカルに出場する岩本亜希子選手(29)=アイリスオーヤマ・諏訪市出身=が27日午前、長野市の県庁に村井知事を訪ね、出発のあいさつをした。「体調をベストにして、6艇が出場できる決勝に進出したい」と意欲を語った。

 岩本選手は1カ月半のヨーロッパ遠征から24日に帰国したばかり。2000年シドニー、04年アテネ五輪に続く3大会連続出場を知事からねぎらわれると、「1年1年やってきたら、いつの間にか五輪が3度目になりました」と応じた。

 村井知事は「磨いた腕を発揮してぜひメダルを持ち帰って」と励まし、激励品として時計を贈った。

 岩本選手は同日午後、母校の岡谷南高校(岡谷市)などを訪問。29日から岩手県内で強化合宿に入る。


<2008/06/26付 信濃毎日新聞より>
「いい結果持ち帰りたい」
 ボートの岩本選手 五輪へ抱負
 北京五輪でボート競技の女子軽量級ダブルスカル出場権を獲得した諏訪市出身の岩本亜希子選手(アイリスオーヤマ、岡谷南高−早大−日体大大学院出)が二十五日、東京・新宿区のリーガロイヤルホテル東京で記者会見し、シドニーアテネに続き三大会連続で臨む五輪への抱負を語った。

 ベージュのスーツで現れた岩本選手は「五週間続けたギリシャでの合宿で手応えを感じた。世界につながる力がついたと思う」と北京五輪へ向け順調な調整ぶりをうかがわせた。このあと質問に答え、「北京では、まず決勝進出が目標。メダルまであと一歩のところ。いい結果をもって帰りたい」とメダル獲得への意気込みを語った。

 さらに岩本選手は「ボート競技を始めた諏訪湖は自分の原点。いまも暇があれば、日帰りしてでも諏訪に帰る。おいしいウナギとそばを食べて元気を取り戻している」と笑顔で話した。

 岩本選手は四月に中国・上海でのアジア最終予選で熊倉美咲選手(戸田中央病院クラブ、早大出)とともに優勝、出場権を獲得した。この日の会見には熊倉選手も出席し、終了後は早大漕艇部など主催の激励会に臨んだ。(大坂吉之)

【写真】会見で北京五輪への抱負を語る岩本亜希子選手(右)と熊倉美咲選手(左)=25日、東京都


<2008/06/06付 長野日報より>
岩本選手のふるさとに応援幕
岩本亜希子選手の北京オリンピック出場を激励しようと諏訪地方の岩本選手ゆかりの地では応援幕が掲げられました。市役所庁舎とJR上諏訪駅前、および渋崎公民館前の様子をご紹介いたします。


諏訪市役所 庁舎正面にて

JR上諏訪駅前 「まるみつ百貨店」

諏訪市渋崎区 公民館前
 


<2008/06/15 長野県ボHPオリジナル記事>
北京五輪出場 2選手を激励
 諏訪市役所に横断幕
 諏訪市は五日、八月の北京五輪に出場する地元ゆかりの選手を応援しようと、ボート競技の岩本亜希子(二九=アイリスオーヤマ=と馬術競技の大岩義明(三一)=日東光学=の両選手を激励する横断幕を市役所に掲げた。

 横断幕は縦九十センチ、横八メートルの大きさ。「祈健闘 北京オリンピック日本代表 岩本亜希子選手 大岩義明選手」と書かれ、市役所正面玄関上の三階部分に設置した。八月二十四日の五輪終了まで掲示する。六日には懸垂幕をJR上諏訪駅前のまるみつ百貨店にも取り付ける。

 岩本選手は同市出身で、五輪は三大会連続の出場。初出場の大岩選手は所属する日東光学の本社が市内にある。細野祐教育長は「五輪に二人も選手を送り出せることは市民として大変うれしい。両選手の健闘を心からお祈りする」と話していた。 (高木敏雄)

【写真】諏訪市役所に掲げられた横断幕


<2008/06/06付 長野日報より>
〜挑戦 北京へ〜
岩本亜希子 ボート
 ボート女子軽量級ダブルスカルで3大会連続となる五輪出場を決めた岩本亜希子(アイリスオーヤマ・諏訪市出身)。日本の女子ではまだ達成されていない8位入賞、さらに6艇による決勝進出という新境地を切り開こうと、かつてない強い決意で臨む。力と経験に裏打ちされた確かな手応えを胸に、「集大成」の北京へ向かう。

大きく漕ぎ 完全燃焼へ

 「本当に思うんです、レースが終わったとき、真っ白な灰になっていればいいって」。そのまま受け止めればゾッとするような言葉だが、けろりと話す表情に悲愴感はない。4月のアジア最終予選で、3度目にして"最後"の五輪出場をたぐり寄せ、決意がにじみ出てきたような印象だ。

 15歳で始めた競技は、ちょうど人生の半分に当たる年月を経た。「北京五輪を集大成の場にしたい。その先のことは考えられない」という。体力の衰えや力の限界を感じたからではない。むしろ逆で、今は競技者としてのピークに向かう途上にいる。


 「私の持ち味はストロークの長さ。強い出力を貫きたい」。ダブルスカルでは2選手の平均体重が57キロ以下、かつ選手個人は59キロ以下の制限がある女子軽量級にあって173センチの上背は、世界トップ級の外国選手にも引けを取らない。体格を生かすために、技術の向上に腐心してきた。少しでも後ろで水面をとらえ、少しでも長く漕ぐ。大きく張り出た左右の肩甲骨が重なり合うほどになる最後の一漕ぎが、強さを支えている。

 それでも「まだ大きく漕げる」という感覚がある。2000メートルでストローク数は250回ほど。1回のストロークが1センチ長くなれば、ゴールした得には2−3メートルもの差になる計算だ。タイムに換算して0秒5ほど。昨年の世界選手権では0秒05差で五輪出場権を逃していることを考えると、この違いは小さくない。

 アテネ五輪後は、肉体強化にも本腰を入れた。「フィジカルをつけようと覚悟した」2季前から、「メニューを見るたびに、とてもできないと思った」ぐらいハードなトレーニングを休日なしで積んだ。今年3月のエルゴメータによるタイム測定で初めて2000メートル7分18秒台を記録。それまでは万全の状態で出した記録だったのに対し、この時は練習の疲れを残したままだったことを踏まえると、「確かな手応えを実感できる」。

 アジア最終予選は、2位のカザフスタンに24秒近くの大差をつけて優勝した。世界選手権も、五輪種目では日本女子過去最高の9位。過去2度の五輪はともに越えられなかった準決勝への壁を、今回は破る期待が膨らむ。

 そのために、本番まで残された短期間でしなければならないことがある。ペアを組む熊倉美咲(戸田中央総合病院クラブ)とのコンビネーションの向上だ。10センチもの身長差によるストロークの長さの違いが障壁となり、2人の力を一つにできていない。最終予選の決勝レースも、途中から2人の漕ぎが乱れ、納得いくものではなかった。


 岩本には苦い経験がある。初出場のシドニー五輪。「夢心地でレースの記憶がほとんどない。終わった後、パートナーに申し訳なかった」。北京が初の五輪となる熊倉に同じ思いをしてほしくない−。体格差のある2人の漕ぎを体の大きな岩本に合わせるのは困難を伴う。心技両面で新たなパートナーを牽引できるか。今こそ豊富な経験が試される。

 「これまでは、ダブルに乗っていても感覚はシングルだった。でも、相手の力を生かさないと、私も生きないことが分かってきた」。2人の息がピタリと合ったとき、岩本の競技生活は完全燃焼する。(板倉 就五)

岩本亜希子 主な成績
大会 種目 順位
1995 全日本高校選手権 シングル 6位
1996 国体 少年女子シングル 2位
1998 アジア大会 軽量級ダブル 2位
1999 世界選手権 軽量級シングル 11位
1999 アジア選手権 軽量級シングル 優勝
2000 世界選手権 軽量級四人 4位
2000 シドニー五輪 軽量級ダブル 14位
2002 アジア大会 ダブル 2位
2004 アテネ五輪 軽量級ダブル 13位
2006 アジア大会 軽量級ダブル 2位
2007 世界選手権 軽量級ダブル 9位

パートナー熊倉「まだ伸びる」

 岩本が「とにかくタフで本番に強い」と評するのが今回ペアを組む熊倉だ。五輪初出場の25歳とどこまで完成度を高められるかが、北京での成績に直結する。

 埼玉県出身。中学までは岩本と同様に競泳選手だった。メドレーリレーのバタフライで国体に出場し4位入賞した実績もあり、体の強さは折り紙付きだ。浦和第一女子高でボートを始め、早大へ。早大では1年から全日本大学選手権シングルスカルで3連覇した。

 一昨年は腰痛に苦しんだが次第に癒え、昨春から岩本とコンビを組んだ。昨年6月には全日本選手権シングルスカルを初制覇。大学の先輩の岩本を脅かす場面も増え、9月の世界選手権軽量級ダブルスカルで9位の好成績を勝ち取った。

 ストロークの長さを求める岩本に対して「もうこれ以上漕げない」と反発したこともあったが、アジア最終予選を前にダイナミックなローイングを追求することで2人の意見が一致した。熊倉は「まだまだ課題は山積だけれど、その分だけ伸びる可能性があると信じて、最後の最後まで精いっぱい努力したい」と意気込んでいる。」


 岩本亜希子(いわもと あきこ)岡谷南高でボートを始める。早大在学の2000年シドニー五輪に女子県勢として初出場して14位。04年アテネ五輪は13位。06年アジア大会では3大会連続となる銀メダルを獲得した。07年世界選手権9位。日体大大学院を経て現在はアイリスオーヤマ所属。173センチ、57キロ。29歳。諏訪市出身。
【写真】3大会連続となる五輪は真夏の北京が舞台になる。「集大成」のレースに向けて練習を積むボートの岩本亜希子=4日、埼玉県戸田市


(信濃毎日新聞:2008年5月18日掲載)

ボート 岩本亜希子(アイリスオーヤマ 諏訪市出身)
集大成の五輪へ
 日本女子ボート界の第一人者で諏訪市出身の岩本亜希子(アイリスオーヤマ)が軽量級ダブルスカルでシドニー、アテネ両五輪に続く北京五輪の出場権をつかんだ。3大会連続の五輪代表は日本女子では初めての快挙。北京五輪を競技生活の集大成と位置付け、念願の決勝進出へ思いを強めている。   (宮坂麻里)

3度目の大舞台念願の決勝目指す

課題残ったアジア予選

 4月下旬に中国・上海で行われたアジア予遠で優勝し、3位までに与えられる五輪出場権をつかんだ。同じ早大出身で4歳年下の熊倉美咲(戸田中央総合病院クラブ)と組み、2位のカザフスタンに約24秒もの大差をつけて圧勝。細淵監督らスタッフが「これほどの差をつけるとは」と驚く完ぺきなレースだった。

 ただ、岩本にとっては納得のいく内容ではなかった。中間点すぎから熊倉の号令で入れるはずだったスパートが遅れ、二人のこぎにずれが生じたためだ。アジアのレベルを考え「優勝は当たり前」と臨んだ大会。決勝は五輪を想定して戦う場だった。世界トップレベルのクルーが一段とスピードを上げる後半に「白分たちの艇速がどれだけ伸びるのか試したかった」と岩本。レース直後は艇の上で「反省会」をしたほど、優勝を喜び合う雰囲気はなかったという。五輪切符を初めて手にした25歳の熊倉に気の緩みが出ないよう戒める意味もあった。

経験から得た「使命感」

 シドニー五輪は同種目で14位。再挑戦したアテネ五輪は一つ順位を上げただけの13位で、ともに準決勝に進めなかった。シドニー五輪で軽量級ダブルスカル史上初の決勝進出を果たし6位に入り、アテネ五輪も6位入賞した男子に比べ、進化し切れない女子のレベルにずっと悔しさを感じてきたという。

 一方で、両五輪の経験から「自分が日本女子ボート界を変えるという使命を感じる」ようになった。台頭する若い選手に負けない豊かな経験が、何よりの武器だと実感したからだ。2006年以降、世界選手権やアジア予選の派遣代表を決める国内選考会で岩本の力は際立っていた。

体力、筋力大幅アップ

 国内の女子では抜きん出た漕力は、日本ボート協会が長期契約で招いた外国人コーチの練習メニューで鍛えられた。最重点強化種目の男子を専門的に指導するコーチのメニューを、男子に教わって06年から取り組むように。それまでとは比べ物にならない練習量を継続してこなし、体力、筋力が大幅にアップした。さらに「男子だけでなく、自分も見てほしい」とコーチに志願。07年冬からはコーチのメニューをすべて消化できる力を身に付けた。

 岩本の努力は、着実に日本女子のレベルを押し上げてきた。06年世界選手権は玉川由紀(早大)と組んだ軽量級ダブルスカルで15位。結果は変わりばえしなくても、強豪クルーとのタイム差を大きく縮め「世界トップ集団の背中が見えた」。07年の同選手権では熊倉と組み、五輪出場資格を得る8位にわずか0秒05差の9位。本人は「20センチの差が、ものすごく大きな実力の差だった」と振り返るが、過去に五輪出場権争いができるレベルになかった日本女子の大きな躍進だった。

「心身とも最高の状態」

 岡谷南高でボートを始めて15年目の今季が「心身とも最高の状態」と充実した表情で話す岩本。五輪出場を決めた後も、浮かれる様子はみじんもない。頭にあるのは、アテネで味わった世界との差を埋めることだけ。残り3カ月、欧州遠征や国内合宿でペアの熊倉とのコンビネーションを磨き、夏の大舞台へ向かう。「日本女子の最高成績を残し、ラストレースにしたい」と表情を引き締めた。

ボートの北京五輪日本代表
 軽量級ダブルスカルで男女各1クルーが出場する。男子は武田大作(ダイキ)浦和重(NTT東日本)組が昨年9月の世界達手権で6位となり、いち早く出場枠を獲得。その後の選考で2人が代表に決定した。女子は岩本亜希子(アイリスオーヤマ)熊倉美咲(戸田中央総合病院クラブ)組が昨年の世界選手権で9位となり、8位までに与えられる五輪出場枠を逃したが、今年4月のアジア最終予選で優勝し、3位までに与軋られる出場資格を得た。


 岩本亜希子(いわもと・あきこ) アイリスオーヤマ(本社・仙台市)所属。岡谷南高−早大−日体大大学院出。高校入学後にボートを始め、早大在学中の99年アジア選手権で軽量級シングルスカル優勝。00年シドニー五輪に県内女子選手として初めて出場し、軽量級ダブルスカル14位、04年アテネ五輪13位。06年ドーハ・アジア大会では同種目で3大会連続の銀メダルを獲得した。173センチ、57キロ。諏訪市渋崎出身。29歳。
【写真】3大会連続の出場となる北京五輪で、日本女子最高成績を指す岩本亜希子(アイリスオーヤマ)=埼玉県戸田ボート場


(長野日報:2008年5月11日掲載)

大舞台に挑む県勢
ボート3大会連続出場 岩本亜希子
 長野県勢は、すでに2人が五輪出場を決めている。ボート女子軽量級ダブルスカルの岩本亜希子(アイリスオーヤマ・岡谷南高−早大−日体大大学院出)は、4月下旬に上海で行われたアジア最終予選で熊倉美咲(戸田中央総合病院ク)とともに優勝し、シドニー、アテネに続いて3大会連続出場。馬術界期待のホープ、22歳の佐藤英賢所松寺馬事公苑)は障害飛越競技で初の五輪に挑む。父正道さんは日本が出場をボイコットしたモスクワ五輪の代表候補だった。親子二代の五輪の夢を実現した。<以下略>


【写真】3大会連続の五輪出場を決め、練習に力が入る岩本亜希子(5月4日・埼玉県戸田市)

(信濃毎日新聞:2008年5月5日 15面掲載)

ボート女子ダブルスカル
岩本 五輪へ
3大会連続出場

ボートの北京五輪アジア予選最終日は二十七日、上海で行われ、女子軽量級ダブルスカル決勝で岩本亜希子選手(アイリスオーヤマ・岡谷南高−早大−日体大大学院出・写真)熊倉美咲選手(戸田中央総合病院ク)組が7分50秒15で優勝し、五輪出場を決めた。  【関連記事25・27面に】

 上位三位が五輪出場資格を獲得するレースで岩本、熊倉組は二位のカザフスタンのペアに約24秒の大差をつけて一位になった。岩本選手は諏訪市出身で二十九歳。二〇〇〇年シドニー、〇四年アテネに続き、三大会連続での五輪出場となる。
 県出身者の北京五輪代表はこれまでに、馬術の障害飛越で上水内郡小川村高府の佐藤英資選手=明松寺馬事公苑=が内定している。

(信濃毎日新聞:2008年4月28日 1面掲載)

完ぺき岩本組北京ヘ
ポート五輪予選 2位に大差のX
 中国の上海で27日行われたボートの北京五輪アジア最終予選最終日。女子軽量級ダブルスカル決勝で優勝し、北京五輪出場を決めた岩本亜希子(アイリスオーヤマ・岡谷南高−早大−日体大大学院出)熊倉美咲(戸田中央総合病院ク)組は7分50秒15を出し、2位カザフスタンに約24秒差をつける完ぺきなレースを見せた。 【1面参照】

 決勝で日本ば好スタートから先頭を奪い、500bすぎからリードを広げた。距離にして100bほどの大差をつけた結果に、細淵監督は「1位か2位で五輪切符を取ると予想していた。アジアでトップは不思議ではないが、これほどの差をつけるとは思わなかった」と喜んだ。

 昨年の世界選手権(ドイツ・ミュンヘン)でもペアを組んだ2人は7−12位決定戦で9位。8位までが手にした北京五輪出場資格を100分の5秒差で逃した。同監督は「北京では6組が進出する決勝に出ることが目標。減量や健康管理に気を付けながら課題を克服して臨みたい」。5月6日から欧州で合宿に入り、メダルの快挙へ挑む。

(信濃毎日新聞:2008年4月28日 25面掲載)

ボート岩本選手 五輪へ
「力出し切って」「3連続は立派」地元・諏訪 喜びの声
 諏訪市出身でボートの岩本亜希子選手(29)が27日、3大会連続の五輪出場を決めた知らせに、諏訪地方の関係者からは喜びと期待の声が上がった。

 岩本選手の母、君子さん(59)=諏訪市=は同日昼、中国・上海で開かれた北京五輪アジア最終予選に応援に行った家族からの電話で、出場決定を知った。岩本選手は2週間ほど前に実家に戻った際、「冬から調子がいいので、強豪のヨーロッパ選手に近づけそうだ」と意気込んでいたという。君子さんは「北京五輪では最後まで故障なく持てる力を出し切ってほしい」と話した。

 岩本選手がボートを始めた岡谷南高校時代に、同校ボート部の顧問として指導した現富士見高校教諭の伊藤和夫さん(54)=茅野市=は「3大会連続出場は立派。私にとっても誇り」と喜んだ。「高校時代から努力家で、人一倍頑張ってきた」と振り返り、「年齢的に最後の五輪になるかもしれない。これまでやってきたことを全部出し切ってほしい」と期待した。

 また、高校時代に諏訪湖で練習していた岩本選手を県ボート協会強化部長として支えた同協会理事長の青木成雄さん(64)=諏訪市=は「本当によくやってくれた。念願の入賞を目指して」とエールを送った。

(信濃毎日新聞:2008年4月28日 27面掲載)

岩本組"完ぺきレース" 2位に大差で北京切符
ボート 五輪 アジア最終予選
 ボートの北京五輪アジア最終予選は27日、中国の上海で行われ、女子軽量級ダブルスカルで岩本亜希子(アイリスオーヤマ) 熊倉美咲(戸田中央総合病院ク)組が決勝で7分50秒15をマークして優勝し、3位までに与えられる同五輪出場資格をトップで獲得した。岩本は2000年シドニー、04年アテネ大会に続き五輪3大会連続出場。熊倉は初出場となる。
 決勝で日本は好スタートから先頭を奪い、500メートル過ぎからリードを広げて大差をつけた。
 2位は8分14秒14でカザフスタン、3位は8分16秒22で韓国だった。(時事)
大舞台 決勝進出狙う

 上位3カ国・地域に与えられる女子軽量級ダブルスカルの北京五輪出場資格獲得に向け、岩本、熊倉組が完ぺきなレースを見せた。
 2位のカザフスタンにおよそ24秒、距離にして100メートルほどの大差をつけた結果に、細淵監督は「1位か2位で五輪切符を取ると予想していた。アジアでトップは不思議ではないが、これほどの差をつけるとは思わなかった」と喜んだ。

 昨年の世界選手権(ドイツ・ミュンヘン)でもペアを組んだ2人は7-12位決定戦で9位。8位までが手にした北京五輪出場資格を、100分の5秒差で逃していた。

 同監督は「北京では6組が出場する決勝に出ることが目標。減量や健康管理に気を付けながら課題を克服して臨みたい」。5月6日から欧州で合宿に入り、メダルの快挙へ挑む。(時事)

岩本 亜希子(いわもと・あきこ)
アイリスオーヤマ。岡谷南高−早大−日体大大学院出。女子軽量級ダブルスカルでシドニー五輪14位、アテネ五輪13位。五輪は3大会連続代表。06年ドーハ・アジア大会2位。171センチ、60キロ。29歳。諏訪市出身。

熊倉 美咲(くまくら・みさき)
戸田中央総合病院ク。早大出。07年全日本選手権女子シングルスカル優勝。岩本とペアを組んだ07年世界選手権女子軽量級ダブルスカル9位。166センチ、60キロ。25歳。埼玉県出身。(時事)

(長野日報:2008年4月28日 10面掲載)

3大会連続で岩本五輪出場
 ボートの北京五輪アジア最終予選は最終日の27日、中国・上海で行われ、女子軽量級ダブルスカル決勝で、諏訪市出身の岩本亜希子選手(アイリスオーヤマ、岡谷南高―早大―日体大大学院出 )と熊倉美咲選手(戸田中央総合病院ク)の日本が優勝し、3位までに与えられる五輪出場枠を獲得した。

 日本ボート協会は出場権取得選手を五輪代表にする方針で、岩本、熊倉両選手が北京五輪に出場する。岩本選手はシドニー、アテネに続く3大会連続の五輪出場となる。

過去最高成績目指す

岩本亜希子選手の話 昨年の世界選手権では0秒05差で五輪切符を逃し、悔しい思いをしたが、ようやくスタートラインに立つことができた。シドニー、アテネで世界の高い壁に跳ね返され、五輪の舞台には借りがたくさんある。それを返すために、北京五輪では過去最高成績を目指したい。

(長野日報:2008年4月28日 1面掲載)


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