北京パラ五輪ボート代表 諏訪湖で合宿 浜田さん 松本さん 本番に向け調整 |
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北京パラリンピック(九月六−十七日)のボート競技に唯一の日本代表七して初出場するNHK職員の浜田美穂さん(三九)=埼玉県戸田市=と、ANAビジネスクリエイト職員の松本めぐみさん(二三)=東京都練馬区=の男女クルーが八月二−十日の日程で、下諏訪町立漕艇庫前の諏訪湖で強化合宿を行っている。パラリンピックの大舞台に向け、二人は「予選で六位までに入り、決勝進出を狙いたい」と意気込みを語る。 ボート競技は北京大会で初めて正式種目になった。二人が出場するのは「TAダブルスカル」。十二カ国の代表選手が出場し、男女二人が後ろ向きでボートに乗って、上半身でオールを動かして千bのコースで競争する。日程は九月九−十一日。競技会場となる「順義オリンピック水上公園」が広い人工池のため、状況が良く似た諏訪湖を大会前最後の合宿場所に選んだ。 二人はともに埼玉県出身。浜田さんは交通事故で右足のひざから下を切断。松本さんも交通事故で右足の太ももから下を失った。二人ともボート歴は八カ月−一年半余りと短いが、今年五月にドイツで開かれたワールドカップで四位に入賞し、北京大会への出場権を獲得。「気持ちがいいの一言」(松本さん)という印象の諏訪湖で、スタミナやスピードを付ける練習に連日励み、本番に向けてコンディションを整えている。 「今の状況を維持し、できる限りの力を発揮してメダルに届けば」と話す浜田さん。松本さんも「後悔しないように、最後まであきらめずに全力を出し切りたい」と言葉に力を込める。ヘッドコーチを務めるNPO法人「日本アダプティブローイング協会」の高柳健一副理事長(五四)も「日本の障害者ボートのパイオニアになってほしい」と期待を寄せている。 障害者のボート競技を支援する同法人によると、日本の障害者ボートは、二〇〇五年に岐阜県で開かれた世界選手権の際に、女子マラソンの高橋尚子選手(三六)=岐阜県出身=中部ボート連盟に障害者用のダブルスカル艇「尚風(なおかぜ)」を寄贈したことをきっかけに始まった。浜田さんと松本さんも「尚風」で練習を積んだ選手。同法人の青木松永事務局長は「高橋選手は北京に行けなかったが、その思いは二人が運んでくれるはず」と話している。 (斎藤康史) 【写真】北京パラリンピックに向け、夏の日差しを浴びながら練習に励む松本さんと浜田さん=2日、下諏訪町漕艇場
<2008/08/03付 長野日報より>
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