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全諏訪A 大差で優勝
信毎諏訪湖レガッタ 岩本は2種目制覇
 ボートの第30回信毎諏訪湖レガッタと第8回全国ナックルフォア大会最終日は13日、下諏訪町漕艇場(千メートルコース)で各種目の決勝を行った。県勢は成年男子で舵手付きフォアの全諏訪が4連覇し、ダブルスカルでは牛山英俊と林武史の全諏訪Aが大差で優勝した。

 少年男子はシングルスカルで小口太陽(岡谷兼高)がゴール前で転覆し、失格。金原俊明(諏訪清陵高)は4位。少年女子は、シングルスカルで長岡ちあき(岡谷南高)が3位と健闘した。

 中学勢は、下諏訪中が男子シングルスカル、同舵手付きクオドルプル、女子ダブルスカル、同舵手付きクオドルプルを制した。

 レガッタの大会30周年を記念した招待選手は、岩本亜希子(アイリスオーヤマ・岡谷南高−早大−日体大大学院出)が成年女子シングルスカルに加え、福地愛(アイリスオーヤマ)と組んだダブルスカルを制覇。大元英照(アイリスオーヤマ)も男子シングルスカルで優勝した。大会最優秀クルーに贈られる「小口太郎賞」は、少年女子舵手付きクオドルプルを3分43秒54の好タイムで制した猿投農林高(愛知)が獲得した。


男子ダブルスカル 22歳林 社会人デビュー
Uターン県勢 新たな力

 成年男子ダブルスカルは、今春地元に∪ターン就職したばかりの林が実力者の牛山と組んだ全諏訪Aが2位に大差をつけて優勝。国体を目指す県勢の中で、期待の22歳が社会人としてのデビュー戦を見事に飾った。

 林は下諏訪中1年の時、友人に誘われてボートを始めた。中学、高校で納得がいく成績が残せなかったため、仙台大でも競技を続けた。大卒後は仙台に残る選択肢もあったが、車の営業マンとして働きたい希望も考慮し、∪ターンを決めた。

 ボート漬けだった学生時代と適い、4月以降は午前5時から下諏訪町漕艇場で練習、同7時ごろ一度家に帰って勤務先の自動車販売会社に向かう生活を続ける努力塚だ。

 レースは、スタート直後から牛山と息の合ったこぎで加速。ボート選手としては細身のため、余計に印象的な柔らかいこぎ方で、風で荒れた水面を確実にとらえた。「牛山さんと2人でこいだのは今朝、20分くらい」とレース後の林。高い技術と器用さは、県勢の新たな力になりそうだ。

 この日は大学で同期だった大元と福地が招待選手としてレースに臨み、出場種目で優勝した。かつての戦友と談笑もしていた林は「今日はとても楽しいレースだった」と笑顔。「忙しい週末にこうしてレースに出ることを勤務先に理解してもらい本当に感謝している。国体の決勝を目指して頑張る」と話していた。

【写真】成年男子ダブルスカルで優勝した全諏訪Aの牛山英俊(手前)と林武史


少年女子長岡3位総体へ弾み

 少年女子シングルスカルは、長岡(岡谷南)が3位と健闘した。力強いこぎで目標としていた順位に入り、夏の全国高校総体へ弾みをつけた。

 スタートからトップ選手に並んでいたが、500bすぎで波が高くなり、「バランスを崩し、強くこぐことを意識した」。何とか食らいついていたが、700メートルから800メートルでスパートした2選手に引き離され、「悔しかった」。現状での力の差も確認できた。

 レース後は、ボートを始めた下諏訪中で一緒だった仲間らとつくった、岡谷南高と下諏訪向陽高の混成クルー「チーム向南」としてレースに出場。最下位の6位と結果こそ振るわなかったものの、「国体予選を目指して頑張りたい」と納得の表情で前を見据えた。


少年男子県勢は表彰台あと一歩

 少年男子シングルスカルで、期待の県勢は表彰台にあと一歩及ばなかった。小口(岡谷東高)がゴール直前で転覆によるまさかの失格。金原(諏訪清陵高)は苦手な波に苦しみながら、4位に食い込んだ。

 小口は課題になっているスタートで飛び出し、無駄のないこぎで加速、終盤の戦いへ。ただ、ゴール前20メートル付近で右手からオールが離れ、左側に倒れた。「必死で3位争いをしていた。中盤から波が荒く水が体にかかっていた」。全身が濡れ、震えながら悔しがった。

 金原は「出だしは良かったが、中盤からの高い波に対応する技術が未熟だった」と振り返った。昨秋から本格的に始めた同種目。持ち味のパワーと速さはこれまで逆風や波がない時に優位に働いてきた。「まだ経験不足。ただ、このレースで2位以下はそんなに差がないと分かった」とさらなる努力を誓った。

【写真】少年女子シングルスカル 健闘し3位に食い込んだ長岡ちあき(岡谷南高)


諏訪湖ならでは孫と祖父が力漕

 孫と祖父がそろって大会に出場、それぞれの種目で頑張った。中学女子ダブルスカルに出たのは孫、山崎智子(上諏訪中3年)。全国ナックルフォア大会に出場した74歳の祖父、山崎壮一。ボートの盛んな諏訪湖畔らしい光景だった。

 山崎智は、中学1年の冬までバスケット部だったが、祖父を見ていたこともあり、友人の渡辺実咲と一緒に退部し、社会体育活動で2人でボートを始めた。2年生の1年間は練習に充て、人生初となったこの日のレースは2チーム中2位だったが、「今度は勝ちたい」と欲が出てきた様子だ。

 山崎壮は13歳からボートを始めた。20代ごろから65歳までは、競技よりも大会運営にかかわる機会が多かった。定年退職を迎えた諏訪清陵高OBの仲間らでもう一度レースを楽しむことになり、近年は英国や米国にも遠征″。「孫の出場はうれしい。こうやってどんどん層が厚くなればいい」などと話していた。

この記事に取り上げられている孫・智子さんだけでなく、壮一さんのお孫さんがもう一人出場されていたことを見逃してはイケマセン[せっかく取り上げるなら平等に…](^^; もう一人の孫である慎二郎君もお祖父さんの母校クオドルプルのメンバーとして頑張りました。諏訪湖にもこうして3代に渡るボート一家が増えることを嬉しく思うとともに、ボートを知らないさらに多くの方々にもその一員になってほしいと願うのでありました。byHP管理人


※決勝成績は省略

<2007/5/14付 信濃毎日新聞>

障害者ボート より強く

諏訪湖レガッタ 2選手が初出漕
 十三日まで諏訪郡下諏訪町漕艇場で開いた信毎諏訪湖レガッタに、障害者ボート競技の普及に取り組む「日本アダプティブローイング協会」所属の二選手が初出場した。二〇〇八年北京パラリンピックから正式種目になる同競技の選手強化が協会の狙い。パラリンピック出場を目指す都内の矢萩英樹さん(49)と松本めぐみさん(22)が初めてのレースに臨んだ。 【25面参照】

 下肢障害のある松本さんは十三日、寺田喜宣コーチ(49)=神奈川県=とこぎ手二人のダブルスカルで出場。成年女子ダブルスカルレースと同時スタートした。背もたれのあるシートを設置した障害者専用の艇に腰と脚を固定し、上体と腕の動きだけで五百メートルをこぎきった。「風が強かったけれど、あっという間だった」と松本さん。「どんな状況にも、対応できるよう練習し、スタートも磨きたい」と話した。

 脊髄(せきずい)損傷で草いす生活の矢萩さんは当初、松本さんとダブルスカルで出漕する予定だったが、二人での練習不足から見送り、十二日に一人乗りのシングルスカルにオープン参加した。「楽しかった。真っすぐこぐためにバランスを取ることが今後の課題」と笑顔を見せた。

 障害者ボート競技は、腕だけでこぐシングルスカル(男女)、腕と上体を使うダブルスカル(男女混合)、全身を使うかじ付きフォア(同)がある。昨年七月設立の同協会によると、国内の競技人口は現在約五十人で、県内に選手はいない。

 寺田コーチは「松本さんのスピードと矢萩さんのパワーが合えば(パラリンピック選考会を兼ねる)八月の世界選手権は期待できる」。協会の鳥居昭久副理事長(43)=諏訪市出身=は「競技を広く知ってもらい、各地から選手が生まれてほしい」と期待していた

。 【写真】信毎諏訪湖レガッタに初出場した下肢障害の松本めぐみさん(手前)と寺田喜宣コーチのダブルスカル=下諏訪町漕艇場


<2007/5/14付 信濃毎日新聞>

成年男子かじ付きフォア 全諏訪4連覇
ダブルスカル(牛山 林武)も制す 〜諏訪湖レガッタ〜
 ボートの第30回諏訪湖レガッタと第8回全国ナックルフォア大会最終日は13日、下諏訪町漕艇場(千メートル)で男女25種目の決勝を行った。県外の強豪を迎えた大会で諏訪勢は成年男子が活躍。かじ付きフォアで全諏訪(名取、両角、牛山、林拓、北沢)が4連覇し、成年男子ダブルスカルも全諏訪(牛山、林武)が制した。

 成年女子は招待出場したシドニー、アテネ両五輪代表の岩本亜希子(アイリスオーヤマ、岡谷南高−早大−日体大大学院出)がシングルスカルで圧勝。岩本は、昨年のアジア大会女子シングルスカル2位の福地愛(アイリスオーヤマ)と組んだダブルスカルでも優勝した。シングルスカルは久世朋加(富山国際大、岡谷南高出)が3位となった。

 少年勢は女子シングルスカルで長岡ちあき(岡谷南高)が3位に入ったのが最高。男子シングルスカルは金原俊明(諏訪清陵高C)が4位。男子かじ付きクオドルプルは諏訪清陵高A(矢島、石田、吉倉、金沢、藤森)が4位となった。  大会最優秀クルーに贈られる小口太郎賞は、少年女子かじ付きクオドルプルを制した猿投農林高(愛知)が受けた。


厚み増した選手層大舞台へ飛躍誓う

 成年男子の全諏訪はかじ付きフォアで2位の慶大に大差をつけて圧勝。最年長38歳の北沢は「慶応との戦いになると思っていたが、思ったより相手が伸びてこなかった」。慶大が波に苦戦して振るわず、あっさり4連覇をつかんだ。

 今季は初めてこの種目で6月の全日本選手権に挑む。そのために4月中旬からクルーを編成した。ここ数年は高校や大学を卒業した選手が地元の諏訪湖でボートを続けるようになっており、ベテランの牛山、北沢は「大人数のクルーでレースに出ることが、若い選手の刺激になれば」と若手の育成のためにあえてフォアを選んだ。

 全諏訪はダブルスカルの牛山、林武組も他を寄せ付けない強さで優勝した。バウの林武史は昨季まで仙台大で活躍。今春から地元に就職し、チームに加入した。「卒業後は続けるつもりはなかったけど、全諏訪で漕(こ)ぐのは楽しい」と林。全日本選手権には出場しないが、秋の国体には意欲を見せる。

 選手層が厚くなったチームは、全日本や国体の大舞台へ一層の飛躍を目指す。リーダーの牛山は「目指しているのはもっと上のレベル。互いに意見を言い合って高めていきたい」と話した。(宮坂麻里)

【写真】成年男子かじ付きフォアで4連覇した全諏訪(左から両角、牛山、林拓、北沢)=13日、下諏訪町漕艇場


体力アップ「次は技術」 少年女子シングルスカル3位の長岡

○…「決勝に進むことが目標だったから、3位に入れたのはうれしい」。少年女子シングルスカルの長岡は県外の強豪を迎えた大会で上位に食い込み、ある程度の手応えは得た。だが、2位に並びかけた800メートル付近で高波にバランスを崩し、失速してしまった決勝の内容に「終盤ばたばたしちゃったのが残念」と悔しさものぞいた。

 昨年は2年生でインターハイに初出場したが、準々決勝敗退に終わった。「今年は絶対に決勝に行きたい」。そのために冬場はウエートトレーニング、エルゴメーターなどで体力アップを図り、今大会はかじ付きクオドルプルにも出場するタフさを見せた。「体力は去年より上がった。水上での技術を挙げることがこれからの課題」と夏へもう一段上を目指す。

【写真】少年女子シングルスカルで3位に入った長岡ちあき(岡谷南高)=13日、下諏訪町漕艇場


岩本 貫録の2種目制覇

 招待出場した岩本は成年女子シングルスカルのレースが終わるとすぐに引き返し、休む暇もなくダブルスカルに出艇。「原点」と話していた諏訪湖で、大きな声援を受けながら最後まで力強い漕(こ)ぎを披露し、2種目で貫録勝ちした。

 湖面が穏やかだった前日とは一転し、高波の中でのレースだったが、高校時代にもよく波が出ていたことを思い出したように「波がすごくて、諏訪湖に帰ってきた感じがした」と笑う。来年の北京五輪を目指し、練習の一環として出場したレースは「とても楽しかった。精神面のいいリフレッシュになった」。

 翌日から宮城で全日本の合宿に参加する。五輪出場権獲得を目指す今夏の世界選手権の代表選考で、存在をアピールするつもりだ。3大会連続の五輪を見据え、岩本は「目標は次の五輪で日本女子初の準決勝に出ること。そのためにレベルアップし、しつかり代表入りしたい」と力を込めた。

【写真】成年女子シングルスカルで圧勝した岩本亜希子(アイリスオーヤマ)=13日、下諏訪町漕艇場


※決勝成績は省略
<2007/5/14付 長野日報>

県勢 期待の2人ともに予選1位
信毎諏訪湖レガッタ
 ボートの第30回信毎諏訪湖レガッタと第8回全国ナックルフォア大会第1日は12日、下諏訪町漕艇場(千メートルコース)で予選と敗者復活戦があり、県勢は、期待のクルーがほぼ順当に13日の準決勝や決勝に進んだ。【関連記事34面に】

 少年男子はシングルスカルで金原俊明(諏訪清陵高)や小口太陽(岡谷東高)が各組1位で準決勝へ。ダブルスカルは諏訪清陵高A、Dや岡谷南、クオドルプルは岡谷東や諏訪清陵Aが準決勝に進んだ。

 少年女子はシングルスカルで長岡ちあき(岡谷南高)や塚原彩紀(岡谷東商)、ダブルスカルで岡谷東や諏訪清陵Aが準決勝へ。舵手付きクオドルプルで下諏訪向陽高と岡谷南高の混成チーム「チーム向南」が結成2年目で初の決勝進出を果たした。

 成年勢は、シングルスカルで男子が全諏訪の4人、女子が招待選手の岩本亜希子(アイリスオーヤマ・岡谷南高一早大−日体大大学院出)らが決勝に駒を進めた。 13日の競技は午前7時から行う。


少年男子の金原と小口 強豪との対戦に意欲

 少年男子シングルスカルで県勢期待の小口(岡谷東高)と金原(諏訪清陵高)がそろって予選を1位通過。タイプの異なる2人だが、ともに高校1年からボートを始めて急成長。同種目は全国上位レベルの選手が集っており、力を試そうと決勝へ意気込む。

 同種目は7組で行い、金原は3組目で登場。序盤から腹背筋を生かした力強いこぎで加速、集中力を保ったまま残り200メートルでスパートし、ゴールを突き抜けた。

 この種目は昨秋から本格的に練習を始め、「最近はタイムも伸び、自信が出てきた」。中学まで野球少年だったが、「ボートは好きな先輩もやっていたし、競技にストーリー性があって面白い」と魅力も話した。

 一方、小口は最終組でスタート。課題の出だしでは差はつかなかったが、豊富な練習量に培われたぶれの少ないこぎで粘り強く艇を進め、危なげなく予選を突破。「本当は最初から飛び抜けたかった」と小口。身長174センチは高校ボート界では小さいが、今春の高校選抜にも出場している。

 2人は13日、ジュニア日本代表候補の栗原(群馬・館林高)や、中日本レガッタ優勝の内藤(福井・選抜)ら全国の強豪に挑む。「規模は小さいがこの大会で実力者を倒したい」と小口。金原は「少なくとも3位以内に入りたい」と引き締まった表情で話した。

【写真】少年男子シングルスカルで予選通過した小口太陽(岡谷東高・右)と金原俊明(諏訪清陵高)


岡谷南と下諏訪向陽
 混成「チーム向南」2年目で決勝進出

 少年女子舵手付きクオドルプルで、岡谷南高と下諏訪向陽高の混成クルー「チーム向南」が敗者復活戦を経て決勝に進出した。両校とも単独では女子部貞が5人に満たず、結成2年目の挑戦で初めて壁を破った。

 混成クルーの5人は岡谷南から小野可奈子、長岡ちあき、栗岡愛。下諏訪向陽から植松美央、高砂美早紀。コックスの小野は1人や2人の種目があるこぎ手と違い、この種目でしか高校生の大会に臨めない。総体は学校単位で参加のため、2年だった昨年から出場が厳しくなっていたという。

 それでも小野は練習の手伝いや同僚への助言をし活動に帯同。栗岡を除く4人が強豪の下諏訪中出身ということもあり、両校で混成チームをつくることになった。前回は予選落ちしたが、今年も1カ月近く前から練習し、息を合わせてきた。

 この日は予選2組中、2組目に登場。3着で敗者復活戦に回ったが、練習を重ねてきた下諏訪町漕艇場で自己ベストを9秒更新するタイムで小差の2位になり、決勝へ。小野は「明日は完全燃焼する」と誓った。

【写真】少年女子舵手付きクオドルプル敗者復活戦で2位になり決勝に進んだチーム向南


11年ぶり「凱旋」 岩本貫録レース

 シドニー、アテネ両五輪に出場した岩本(アイリスオーヤマ・岡谷南高−早大−日体大大学院出)が、招待選手として11年ぶりに大会に出場。成年女子シングルスカル予選で堂々とした「凱旋」レースを展開した。

 この大会で育った28歳は、今や日本女子ボート界の第一人者。同種目では3組中の2組目に登場。10代の選手ら4人との争いだったが、身長173センチが生きる大きく無駄の少ないローイングで加速、2位に10秒余の差をつけてゴールした。

 久しぶりの故郷でのレースを終えた岩本は「今日は百パーセントでやろうと思っていた。500メートルのところにある(他施設より)大きなレーンプレートを見て諏訪湖でやっているんだと実感した」。

 北京五輪を見据え、前日まで追い込んで練習していたといい、「レースでしか追い込めない部分がある」と大会に参加したもう一つの意義を指摘。レベルアップの意欲は十分で13日の同種目準決勝、決勝とダブルスカルへも気合を入れた。

【写真】成年女子シングルスカル 招待選手で11年ぶりに出場した岩本亜希子(アイリスオーヤマ)



<2007/5/13付 信濃毎日新聞>

第30回諏訪湖レガッタ「にぎやかに」

4人で247歳クルー奮闘 初回出場選手ら「まだまだ現役」
 三十回を迎えた信毎諏訪湖レガッタの第一回大会に選手や監督で名を連ねた三人が十二日、レガッタに合わせて諏訪郡下諏訪町漕艇場で開かれた全国ナックルフォア大会に、「諏訪マスターズ」のメンバーとして出場した。「まだまだ現役」と力強いレース運びを見せ、コックス(舵手)を除くこぎ手四人の合計年齢が二百歳以上二百五十歳未満の五百メートル男子Bで決勝進出を決めた。【29面参照】

 「第一回に比べるとだいぶにぎやかだね」。初回レガッタ県選抜監督だった青木成雄さん(63)=諏訪市=は、レース前に三十年前の大会の様子を振り返りながら準備運動に余念がなかった。

 クルーほ青木さんのほかに、別チームの監督だった岡倉要次郎さん(58)=同=と初回レガッタのシングルスカルに出場したコックスの久保田一司さん(62)=下諏訪町=に、花岡真喜男さん(64)=岡谷市、宮下和昭さん(62)=諏訪市=を加えた五人。こぎ手四人の合計年齢は二百四十七歳だ。いずれも大会運営などで競技から遠ざかっていたが、健康のため二〇〇四年秋にマスターズを結成した。

 全国ナックルフォア大会出場は三回目だが、優勝はまだない。岡倉さんは「決勝進出は予定通り。後はやるだけ」と、気を引き締めていた。

【写真】敗者復活戦のスタートダッシュで力漕する「諏訪マスターズ」クルー


慶大クルー14年ぶり出場 地元「全諏訪」と熱戦
 諏訪郡下諏訪町の町漕艇場で十二日開いた信毎諏訪湖レガッタに、古豪の慶応大端艇部が十四年ぶりに出場した。クルーの一人として諏訪清陵高校OBで三年ぶりの出場となる岩垂慶選手(20)が乗艇。成年男子舵手付きフォア予選(千メートル)で四連覇を狙う地元の全諏訪と熱戦を繰り広げた。

 舵手付きフォアはかじ取り役のコックスとオールを一本ずつ持つこぎ手四人がボートに乗る。慶応大は中盤五百メートルで約二秒差で全諏訪に先行したが、終盤に失速。全諏訪に逆転を許した。

 レースを終えた全諏訪の北沢勝己選手(38)は「失速はしたが想像通り手ごわい」と、十三日の決勝に向けて気を引き締めた様子。岩垂選手は久しぶりの諏訪湖でのレースを喜びながら「決勝は勝ちにいく」と巻き返しを誓っていた。

 慶応大端艇部は、十年余前に約百人の選手がいたが、現在十三人に減少。選手勧誘の意味もあり、今年は各地の大会に出場している。

【写真】成年男子舵手付きフォアに出場した慶大クルーの岩垂慶選手(右)


<2007/5/13付 信濃毎日新聞>

諏訪湖レガッタ開幕
240クルー以上がきょうまで熱戦−下諏訪町漕艇場で
 ボートの第30回諏訪湖レガッタと第8回全国ナックルフォア大会は12日、下諏訪町漕艇場(千メートル)で2日間の日程で開幕した。両大会合わせて県内外から240を上回るクルーが参加。晴天に恵まれた初日は男女11種目の予選と敗者復活戦を行い、熱戦を繰り広げた。

 少年勢は男子シングルスカルで金原俊明(諏訪清陵高C)小口太陽(岡谷東高)がそれぞれ組1位で順当に通過。男子かじ付きクオドルプルの諏訪清陵高A(矢島、石田、吉倉、金沢、藤森)、女子シングルスカルの長岡ちあき(岡谷南高)らも準決勝進出を決めた。

 成年勢は男子かじ付きフォアで全諏訪(名取、両角、牛山、林、北沢)がトップタイム通過。大会30周年を記念し、招待出場したシドニー、アテネ両五輪代表の岩本亜希子(アイリスオーヤマ、岡谷南高−早大−日体大大学院出)は女子シングルスカル予選B組でトップを独走、2位に大差をつけて準決勝へ進んだ。


「明確な目標持って」
特別招待 岩本選手が漕ぎ方指導

 今大会からナックルフォア五百メートルに男子B(漕手4人の合計年齢200−249歳)と同C(同250歳以上)を設けた。最終日の13日は準決勝と男女25種目の決勝が行われる。

 第30回の節目を迎えた大会で、招待出場した岩本選手が地元の中学、高校生を指導した。レースの合間に数回に分けて講習会を開き、陸上練習用のエルゴーメーターを使って 漕(こ)ぎ方をアドバイスした。

 岩本選手は選手一人ひとりの動きを丁寧にチェック。選手の長所を褒めながら、効率良く艇を進める方法を教えた。強くなるためには「一回一回の練習で何にトライするのか明確な目標を持つことが大切」とも伝えた。

 熱心にアドバイスに耳を傾けた塚原彩紀さん(岡谷東高2年)は「オールが水に入っていない時にいかにリラックスするかが大切だとわかった」とうれしそう。「岩本選手みたいな強い選手になれるよう、教わったことを生かしたい」と意欲を見せていた。

 選手たちの質問にも快く応じた岩本選手は「ボートは地道な努力が報われるスポーツ。中高生にはボートを通して自分の可能性を見つけてほしい」と期待。11年ぶり出場の今大会は「高校以来で懐かしさを感じる。ふるさとの人たちに自分の漕ぎを見て楽しんでもらえるよう、明日も120%のレースをしたい」と笑顔で話していた。 (宮坂麻里)

【写真】陸上用のマシンを使い、高校生に漕ぎ方をアドバイスする岩本亜希子選手(右)


<2007/5/13付 長野日報>

公募チーム初出場

30回目の信毎諏訪湖レガッタ

 十二、十三日に諏訪郡下諏訪町漕艇場で開く第三十回信毎諏訪湖レガッタに、県ボート協会が公募した成年女子選手五人でつくる「ナガノローイングクラブ」が初出場する。五人は塩尻市や岡谷市在住。それぞれの仕事と両立させながら練習に励んでいる。

 昨年6月にクラブ結成
成年女子5人仕事と両立し

 五人は、いずれも塩尻市の会社員青木夏美さん(21)、保育士木藤岡文(きとおか・あや)さん(25)、保育士米山美賢(みさと)さん(23)、病院の調理師青木裕美さん(24)と岡谷市の会社員西村美咲さん(25)。木藤岡さんと西村さんは岡谷東高校(岡谷市)のボート部時代の仲間で、木藤岡さんはこぎ手、西村さんはかじ取り役のコックスの経験者だが、ほかの三人は初心者だ。

 五人は本番に向け、土、日曜や休日のほか、平日の早朝にも練習。八日は午前六時にこぎ出し、町漕艇場コースを二往復した後、それぞれ職場に向かった。主将の青木裕美さんは「波がなくコンディションがよかった。きれいにそろって進むと気持ちがいい」。  信毎諏訪湖レガッタでは、コックスと、オールを両手に一本ずつ持ったこぎ手四人が幅の狭いスカル艇に乗る「女子舵手付きクオドルプル」に出場。山梨大学との二チームが出場予定で、青木主将は「山梨大には(昨年十月の)相模湖レガッタで負けている。できる限り頑張りたい」と話す。

 県ボート協会は昨年、成年女子のボート競技人口拡大などを目的に初めて県代表選手を公募。同クラブは昨年六月に誕生した。今年も成年女子の公募をしており、信毎諏訪湖レガッタ二日目の十三日正午から説明会を町漕艇場で開く。週末に諏訪湖で練習できることなどが条件。問い合わせは同協会強化部成年女子担当の胡桃薫さん(TEL0266・26・1637)へ。

【写真】信毎諏訪湖レガッタ初出場に向けて下諏訪町漕艇場で早朝練習する成年女子クルー「ナガノローインククラブ」。


<2007/5/10付 信濃毎日新聞>


信濃毎日新聞の大会30周年特集記事

信毎諏訪湖レガッタ 力漕30年 −中−

「世界目指すきっかけに」

2人の「五輪選手」

 信毎諏訪湖レガッタは、2人の「五輪選手」を生んだ。
 2000年シドニー、04年アテネと2大会連続で出場し、来年に迫った北京を目指す岩本亜希子(アイリスオーヤマ・岡谷南高−早大−日体大大学院出)。高校2、3年で出場した諏訪湖レガッタは、3年の時に少年女子シングルスカルで優勝。その後の飛躍の出発点になった。

 レース内容よりも、優勝後に受けたインタビューや翌日の新聞1面を飾った記事の方を鮮明に覚えているという。高校でボートを始めた当初から将来を期待され、本人も「ようやく強くなってきた」と感じていた時期。県内外から強豪が集まる大会での優勝、メディアの大きな取り上げに「強くなったことを初めて実感して、もっと強くなりたいと思った」。

 その年に世界ジュニア選手権代表に選ばれて国際舞台に躍り出ると、その後は大学、社会人とずっと世界を相手に戦っている。国内女子の第一人者にまで成長した岩本は、諏訪湖レガッタを「競技者としでの原点」と言い切る。

 もう1人は、1980年モスクワ五輪代表の岩波健児(下諏訪町役場)。同五輪は、日本が出場をボイコットしたため岩波にとっては幻と終わったが、諏訪湖レガッタ草創期には既に、国内トップ選手だった。

 当時はよく、埼玉県の戸田漕艇場で合宿をしていた全日本メンバーを引き連れ、諏訪湖レガッタに出場した。大会はまさに、日本一を決めるハイレベルなレース。諏訪湖レガッタが生んだ、というよりも、諏訪湖レガッタを育てたと言った方がふさわしいかもしれない。

 岩本は、高校時代に同じ下諏訪町漕艇場で練習する岩波の姿をよく見ていた。「高校生がオリンピックを目指すなんて想像もできない。だけど、私の場合は岩波さんが身近にいたから、世界を目指すきっかけになった」と振り返る。

 持ち直しの兆しはあるものの、成年層の競技者の減少、競技レベルの頭打ちといった問題は依然として残る。「選手にとって刺激が何よりも大事」と話す岩本が、今回は11年ぶりに出場する。11年前、岩本の刺激″になっていた岩波は言葉に力を込める。「こんな機会はめったにない。競技力向上に役立てないと」。大きな財産を次代につなげていきたい−という思いがにじんだ。

【写真】11年ぶりに借毎諏訪湖レガッタに出場する岩本亜希子。「恩返しの思いも込めて力いっぱい漕ぐ」と臨む


<2007/5/10付 信濃毎日新聞>

信毎諏訪湖レガッタ 力漕30年 −下−

増加傾向の中高生選手

成年のレベルアップヘ

 街はまだ人影もまばらな早朝。下諏訪町漕艇場は、艇庫からボートを担ぎ出す中学生や高校生たちでにぎわっていた。「かつては部員不足でシングルやダブルしか組めないという話もあったが、今は逆に部員が多すぎるほど」。創部107年目、全国高校総体で優勝歴もある諏訪清陵高端艇部には今春、男子10人、女子11人の1年生が入部した。総勢56人の大所帯となり、顧問の橋本智教諭は苦笑する。艇やオールが足りず、一度に練習できない状態という。

 「朝が早い」「練習がきつい」といったイメージから敬遠されがちだったボート競技だが、テレビドラマや映画で取り上げられた影響もあってか、ここ数年、興味を持つ中高生が増えている。中学でハンドボール部だった溝口智美さんば「水の上の競技が新鮮に感じた。想像以上にスピード感があって楽しい」。野球から転向した河西直紀君と後藤詩郎君は「初心者が多い競技だから全国大会を目指せそう」「他の人とは違う競技をやってみたかった」と話す。

 全国高体連ボート専門部によると、1996年度は5372人だった登録者数は2004年度に4046人まで減少。しかし、05年度から再び上昇に転じ、06年度は4223人まで回復した。その傾向は県内も同様だ。05年度が43人だった登録者数は、06年度は5校で計55人に増えた。県高体連ボート専門部の芦田俊雄委員長(下諏訪向陽高教)は「3、4年前までは各校とも男女1人ずつという感じだった。以前は他校や他県にライバルを求めるしかない状況だったが、身近なところにライバルがいればレベルアップにもつながる」と期待を寄せる。

 だが、部員の大半は高校卒業と同時に競技から離れてしまう。大学進学後も競技を続ける選手は毎年2、3人。就職後も競技を続ける人数はさらに少なくなる。「地元に受け皿となる実業団がない。せっかく育成しても、高校、大学で途切れてしまう」と県ボート協会の藤森周二強化部長。地元で働きながら競技に打ち込む選手が数人しかいない現状を嘆いた。

 成年女子になると、さらに深刻だ。国体に目を向けると、漕ぎ手4人が乗る種目は2001年以降、北信越ブロック予選を突破できない状態が続いている。県協会ば昨年から成年女子選手を一般公募。現在5人が「長野ローイングクラブ」で活動している。今年も13日の信毎諏訪湖レガッタ終了後に説明会を開催する。

 ジュニア選手が増加傾向にある今はチャンスでもある。子供たちにボートの魅力を伝え、成年選手の競技人口拡大と競技力向上にどうつなげていくのか。県ボート界が直面している課題でもある。

【写真】早朝練習を終え、ポートや用具の手入れをする諏訪清陵高端艇部員。ボートに興味を持ち入部を希望する生徒が増えている


<2007/5/11付 信濃毎日新聞>


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