にんげん紀行〜インターハイに挑む諏訪清陵高端艇部 |
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ボート仲間夏の決断 諏訪市の諏訪清陵高校端艇(ボート)部三年生選手八人が、八月四日に広島県で開幕するインターハイ(全国高校総体)ボート競技に向けて練習を重ねている。半年後に大学受験を控え、県ボート協会の国体に向けた強化選手指定は一人を除いて返上した。インターハイを終えれば引退する三年生選手は、勉強とスポーツの狭間で揺れながら、高校生活最後の夏に懸ける。 (仲村卓栄記者) 「受験も大事」…国体強化指定は辞退 同校端艇部は旧制諏訪中学校時代の1901(明治三十四)年創部。今年まで十四年連続でインターハイに出場する強豪の一つだ。今年の三年生部員は十三人。うち、六月に諏訪湖で開いた県大会で優勝した八人が、インターハイに出場する。その八人に県ボート協会は、九月の国体に向けた強化選手の指定を受けるかどうか打診した。 「ボートは続けたい。だが、受験勉強もしなくてはならない」。選手たちは揺れた。特に五人一組のクオドルプル競技に参加する男子は「現役で大学に入りたい」と願う選手と、「ここまで頑張ったのだから(国体まで)続けたい」とする選手に分かれた。個々で県高校選抜に参加することもできるが、話し合いの結論は「そろって辞退」だった。 岩垂慶君(一七)は「受験も気になるが、個人的には国体も目指したかった。でも一緒にこいできた仲間みんなで出なければ意味がないですから」とその時を振り返る。 シングルスカルの男子一人を除く男子五人、女子二人は、インターハイ後にボート部生活にピリオドを打つと決め、六月下旬、協会に伝えた。 夏休みが始まった七月下旬、選手たちは諏訪湖で引き続き練習していた。実戦を想定して素早いピッチでこぐオール。真っ黒に日焼けした顔に大粒の汗が光る。 女子の小林裕貴さん(一七)は「後輩が伸びているから世代交代。でもポートの上から眺めてきた諏訪湖ともお別れなんですね」と寂しそうだ。 会社員の傍ら、コーチを務める同校端艇部OBの平林幸哉さん(三五)は「生徒たちにとって受験は一大事なのかもしれない。大学でもまたボートをやろうとする意欲を持ってくれるとうれしい」と、選手たちの決断を温かく見守っている。 【写真】インターハイに向け、諏訪湖で追い込みの練習に励む端艇部の3年生 <2004/07/30付 信濃毎日新聞より>
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