９月に埼玉県で開催される「彩の国 まごころ国体」に向けた北信越ブロックの予選が、８月１５日に石川県・津幡で行われました。比較的涼しいコンディションに恵まれたレースは、１レース目が横風、２レース目が微順風となりました。

　長野県からは７月の県内選考で編成された県選抜９クルーが、本国体出場をかけてそれぞれ健闘しました。レースの結果、長野県からは今回行われた９種目中５種目で国体切符を獲得。全県出場の成年男子4+とあわせ、昨年を１種目上回る計６種目で本国体に臨むことになりました。北信越ブロックの強豪・富山(９種目で出場権)と福井(同じく７種目)が出場枠をほぼ独占する状況の中で、長野も健闘したと言えるのではないでしょうか。

　レースは女子シングルが、成年・少年ともに危なげなく通過。[写真右：成年W1Xの小泉選手]成年男子ダブルも課題は残したものの本選への出場権を獲得。少年男子はどの種目も激戦で、クオドルプルはインターハイ準決勝進出の新潟に１レース目で競り勝ち、勢いに乗って福井・富山に次ぐ３位を確保。シングルも決定戦までもつれ込む展開となりましたが、インターハイファイナリストが敗れるという激闘を制しました。ダブルスカルも２本目で富山を抑えて決定戦へ持ち込む健闘を見せてくれました。

レース結果および本国体への出場クルーは以下の通りです．

　強豪の福井がジュニア日本代表選手をクオドルプルに回したため、中山は新潟・清野選手(北信越総体３位でインターハイ準決勝進出)との争い。横方向からの風に流されて何度もブイを叩いてバランスを崩すものの、トップの清野選手に食らいついて２レースとも２位を確保。本国体への出場権を獲得した。昨年はクオドの一員として、今年はシングルでということで２度目の国体となる。
　今期は信毎レガッタで津久井・五十嵐選手(インターハイ1X ３位)、またインターハイの予選では決勝進出した浜北・大城選手に勝つなど地力は十分。勝負所でのミスがなければ国体本選での入賞も射程内のはず。がんばろ！

少年男子シングルスカル

　前日の練習を見た限りでは富山・山本選手の動きがヨイ。石川からは北信越総体で好成績だった津幡高2Xの選手。こちらも侮ると痛い目に遭うかも・・・ということで本選への出場枠は３だが、大変な激戦というのが事前予想。

　１レース目。予想通り山本選手が飛び出すが、これを津幡・坂本選手が追う。インターハイ準決勝進出の２人(高木・川越)が見事に置いて行かれる展開(笑)。高木は後半から得意の猛烈な追い上げ。800m過ぎでトップの２人を捉えて混戦のままゴールへ。僅差の２位で１本目をクリア。しかし１レーンの川越選手があまりにも伸びてこなかったのが気になる。２レース目も気は抜けない。
　２レース目。川越選手の猛チャージをとにかく警戒。もちろんこちらも強気で攻めるのみ。
　スタートから順風気味の風に乗って坂本・川越両選手が飛び出す。風下の１レーン・高木は遅れ気味。しかも少し離されている模様。ふと１レース目の川越選手の遅れが頭をよぎる。「もしかして１レーン、コンディションで不利？？」・・・800m。トップ集団からはっきり遅れているのが分かる。高木も必死に追い上げて差は詰まっている。しかし順風の早いレース展開でトップ集団にあと一歩届かず４位でゴール。この結果、川越選手と因縁(?)の決定戦にもつれこむこととなった。

　川越選手とは、今シーズンここまで６回の対戦。高木は２勝４敗と大きく負け越しているが、これが最後の勝負。負ければ国体切符を逃すというまさにサドンデス対決。いざスタート。風は収まって絶好のコンディション。さすがに３本目ともなると、スプリンターの川越選手も大きくリードを奪えないか。逆に高木はスタミナに絶対の自信がある。500ｍはすぐ後ろに相手の気配を感じ、「いける！」との手応え。そのまま超ロングスパートを放ってじわじわ引き離し、最後は圧勝。土壇場の集中力で最高のパフォーマンスを発揮できた。(順風の２本目より好タイムって・・・どういうことやねん？)
　フタを開けてみればインターハイのファイナリストが敗れるというまさに波乱の少年M1X。このサバイバルレースを通じて、また新たなヒントを得ることができた。次回を乞うご期待☆To be continued...

成年女子シングルスカル

　毎年、選手確保に苦労するこの種目。インカレ前の大学生に無理をお願いして出場してもらっている長野チーム。今年は、東京経済大の小泉選手を起用。富山国際大の末上選手、関電小浜・米村選手に食らいつければイケル！という周囲の期待を超えて、鋭い漕ぎで２レースともトップを奪う快漕を見せてくれた。これが今回の長野県勢唯一のトップ通過。この種目の国体出場権獲得は３年ぶり。本番は小泉のホームグラウンドである戸田での国体。まだ３年生なので、今後に向けてもいろいろな意味で良い経験にしてほしい。

成年男子シングルスカル

　今年はシングルスカルに、富山国際大の林を起用。富山の代表も同じ国際大の西本選手で、興味深い対戦となった。関電の大上選手も今年の全日本4+を制した力のある選手。出場枠の２を確保するにはどちらかを食わなければならないが・・・。
　２レースとも、前半３位のポジションを挽回できず、後半は徐々に差を広げられてしまい、残念ながら出場枠には届かなかった。悔しい結果には違いないが、まだまだ伸びる選手。インカレ前に出場してくれたことに感謝。そして今後も長野チームの一員として頑張ってくれることを期待したい。またよろしくね！

少年男子ダブルスカル

　実はナガノが密かに国体出場権を狙うクルー。インターハイ県予選で高木を苦しめた(?)２人で組む秘密兵器。後半に抜群の強さを持つ２年生・岡谷南高の東城選手と、スピードのある下諏訪向陽・濱選手で組むペアは、レース実績はないものの、練習ではインターハイ代表の岡谷南クルーを上回る艇速を発揮して手応え十分で臨んだレースでした。

　レースは北信越総体２位の阿賀黎明を抑え、強豪・富山に迫った１本目。相手のミスに乗じて２位をもぎとった２本目で決定戦に持ち込むことに成功。ここまでは狙い通りの展開でしたが、富山と競った決定戦では、前半に大きなリードを許し、後半で猛烈に追い込んだものの逆転ならず惜しくも出場権獲得はなりませんでした。このレースでの全国切符だけを目指してガンバった３年生の濱選手、そして来年に向けて手応えを得たであろう東城選手。決してユニフォミティの高い漕ぎではありませんでしたが、最後までひたむきに追い込む姿は非常に好感の持てる素晴らしいクルーでした。おつかれさま☆

成年男子ダブルスカル

　全日本軽量級では、予選で良いリズムを出しながら決勝で力を発揮できないまま５位。この経験を糧に、安定感の確立をポイントに取り組んだ１ヶ月半の成果を試す機会。 現地入りしたレース前日の練習では「ヨイ動き」を出すまでにやや時間を要していたが、これをレース前の早い段階で表現できるように持っていくことを再確認。
１レース目は福井が圧倒的なスプリントで飛び出すも、東山選手擁する富山とは互角の前半。ここから良いリズムで福井を追い上げるが、富山もよく伸びている。ラストの競り合いで福井を逆転したものの、富山に届かず２位。積極的にトップを狙いに行っただけに後味はイマイチ・・・かな？
　２本目はできるだけ早くトップスピードに乗せて、先頭争いの中でさらに上を狙う。が、スタートから横風に流されて不安定なまま前半を通過。今度も福井はスタートから飛び出し、１本目の課題をきっちり克服してトップを奪取。長野は後半もリズムを掴めぬまま３位でゴール。結果としては不完全燃焼のレースだった。

このクルーはさすがにキャリアも長く、そこそこのレベルでは漕ぐことができる。しかし「そこそこ」のレベルでは目標としている国体最終日は見えてこない。課題は、良いリズムを本番で発揮できる勝負強さ。そのためには「これだけはどこにも負けない」というセールスポイントを築くことが必要だ(監督談)。

少年女子舵手付クオドルプル

少年男子舵手付クオドルプル

成年女子舵手付クオドルプル