高校ボートシーズンの開幕を告げる表記大会が,例年と同じく静岡県天竜市で開催されました.大会初日は曇り空で雨もちらつく寒さとの戦い,また2日目は風と波との戦いという厳しいコンディションの下レースは実施されました.
昨秋の中部高校選抜で総合3位となって出場権を獲得した男子シングルスカルの下鳥健吾選手は,予選を2位で無難にクリアしましたが,準決勝はシートを外すという予想外のアクシデントで最下位に沈み,確実と思われた入賞を逃す結果となりました.この他,長野県からは,下鳥君とともに男子シングルスカルで出場の岡谷南高・今井君が出場しました.今井君は,準決勝でジュニア代表を有力視される宮城・佐沼高の三塚選手に続いて2位となり,順位決定戦に進出.8位となりました.また女子ダブルスカルの岡谷南高は予選を一発クリアしたものの,準決勝では強豪に届きませんでした.
[大会を観戦して] by がんばるぞう
今回の全国選抜大会は,10回記念と言うことで男女のフォアについて出場枠が拡大されて開催された.この時期の天竜は例年強い季節風に悩まされることが多かったのだが,今年の2日目のコンディションは,過去最悪と言っていいほどのラフコンディションであったように思われる.とにかく湖面には白波が立ち,レース中,練習中のクルー(特に小艇)がいくつも沈する光景を目の当たりにしたのは初めてであった.このような条件もあって,結果の方は必ずしも順当とは思えない部分があったように感じるのは私だけではないだろう.(もちろん優勝したのはいずれも実力あるクルーであることは認めるが..) 優勝争いをしてもおかしくないクルーが準決勝でいくつも消えてしまったのは残念と言わざるを得ない.
さて,長野県からは2年ぶりにクルーが出場したわけだが,男子のシングルについては,おそらくこの大会が始まって以来のことであった.初の出場でありながら北信越の枠を独占し2クルーが出場できたのは快挙と言って良いだろう.諏訪清陵の下鳥君も岡谷南の今井君も漕手としてのタイプは違うが,ともに非常に良いものをもっている.下鳥君は体格やパワーは出場選手の中ではむしろ下位に位置すると思うのだが,そのスムーズなローイングで大きなパワーある選手と互角以上のレースを展開していたし,今井君は昨年の国体出場以来前向きな姿勢で着実に力をつけて,今回の8位という結果を残すことができた.この2人の競り合いは,全国でも十分に通用するレベルであろう.これを良い刺激としてボート長野全体の発憤につなげたいものだ.さて前置きが長くなったが,今回の下鳥君の準決勝敗退という結果は,決して悲観すべきものではなかった.予選タイムこそ11位だが,準決勝では昨秋の中部選抜で歯の立たなかった長谷川(静岡・天竜林業 今大会5位)を抑え,佐々野(愛知・猿投農林 今大会準優勝)を逆転寸前まで追い込むレース展開だったのである.ところが750m地点でシートが外れるアクシデント! 予期せぬトラブルに焦った気持ちは立て直しが効かず,結局最下位のゴールであった.悔やんでも言い訳にしかならないことは百も承知だが,彼の実力を判断すれば順位決定戦の進出は確実であったし,佐々野を逆転して決勝進出することも十分可能であったように思われる(贔屓目なしに見ても).
全国の舞台で結果を残すチャンスを逃したのは確かに残念なことだが,「夏のインターハイで上位を目指すためにはこういう経験もあっていい」と考えれば,決して無意味なアクシデントにはならないと思う.
夏に向けての貴重な経験を活かして欲しい.