第14回 全国高校選抜ボート大会
2003/3/22-23 静岡・天竜

今年で14回目を数える春の全国選抜大会に、長野県からは昨秋の中部選抜で出場権を獲得した3クルーが出場。全クルーが入賞を果たし、幸先の良いシーズンをスタートさせました。


準優勝した朝倉選手(中央)と諏訪実関係の先生方

長野県クルーのレース概要を独断と偏見に基づく取材レポートを元にお伝えします。


男子シングルスカル 諏訪実業高校・朝倉大貴選手
出場選手の中でも一番のちびっ子スカラーが2位になると果たして誰が予想しただろうか?
諏訪実業高校・朝倉大貴。165cm 60kg。東レの岡西選手に「こんな体のどこからそんな パワーが出てくるの?」と言わしめた『ちびっこ大ちゃん』の活躍が関係者の注目を集めた。

爆発的なパワーはない。しかし艇とシンクロした滑らかな動きで昨秋の中部高校選抜では3位となり、全国キップを獲得した。冬場は地道なトレーニングで抜群の持久力に磨きをかけた。その成果が見事に発揮された会心の準優勝だ。

予選は、ジュニア代表候補のひしめく厳しい組合わせ。シーズン初めての2000mレースはまったくの未体験ゾーンで、感覚をつかめないまま5位。しかしタイム的は、他の組なら余裕で通過できるレベルだったことが自信になった。敗復ではその自信=「後半勝負」の手応えをつかんでトップ通過。
しかしこの時点で彼の決勝進出を予想した者はいなかったはずだ。

翌日の準決勝。コーチである佐藤先生[写真左]の「やってみなけりゃ分からない」という大胆(大雑把?)な作戦が功を奏することになる。苦手のスタートは想定通りで、500mは3位。ここから恵那高の伊藤選手が抜け出して1000mでは1艇身の差。予選では完敗した力のある1年生・井手選手も踏ん張っていて厳しい展開だ。しかし勝負あったかに見えた第3クオーターから朝倉の驚異の追い上げが始まった。

先行する井手を1500mで捉えて逆転。艇の伸びはとどまるところを知らず、ぐんぐんトップの伊藤に迫る。水の空いていた展開が気がつけば半艇身。1900mでは完全に形勢逆転してトップに立つ。
ラストの50mのミスオールでヒヤリとするが(そこが大ちゃんらしいところ・・・でもある)、ここまでの勢いで勝負も制した。
その差0.15秒! 敗復まわりのハンデを感じさせず、タフなレースを見事にものにした。

決勝。負けて失うのものはない。これまでのレースで自信をつけた後半の強さは本物なのか?最後のタフなレースで、どこまで通用するのか?それにチャレンジするだけだ。
相手は準決勝を余裕のトップで通過した実力者。しかし厳しい準決勝を乗り越えた朝倉選手の勢いは他選手を圧倒した。

スタートは銚子西・諏訪選手が頭一つ飛び出すも、500mでは他の2選手と互角の争い。準決勝の疲れを感じさせない力強いドライブで艇が伸びる。そして1500mからの驚くべき加速も健在であった。
混戦から抜け出し2番手に躍り出ると。そのままさらにトップを追いつめる。そしてゴール!
1500mで5秒以上あったトップとの差はゴールでなんと1秒にまで迫る驚異のスパートであった。


女子ダブルスカル 岡谷東高校・野村清香選手/直井希望選手
小柄ながらバネのある野村とパワー&安定感の直井。
このクルーを語る上で、これまで必ずついて回る肩書きがある。・・・「全国中学チャンピオン」
大会を前にして、2人は「この肩書きからはもう卒業する」と誓った。今までの自分を変える意気込み。これが彼女たちに課された最大のテーマだったとも言えるだろう。

 2人の持ち味は朝倉選手と同じ後半の安定感。裏を返せばエンジンがかかるまで時間がかかる、ということでもある。レース後半の安定感だけでなく、レースを経るごとに調子を上げていくのがこれまでの2人の勝ちパターンであった。

予選では、先行する坂出に中間点で1艇身のリードを許すが、ここから本領を発揮して1500m過ぎで逆転。ゴールでは完全に水を空けた。予選タイムも総合3位。頂点も視野に入れた上々の滑り出しだ。

準決勝も同じ坂出との一騎打ち・・・のつもりが佐沼、宇和島東にも先行される展開。さすがに甘くない。500mは予選以上に差を付けられて最下位だったものの、1000mで2番手争いに浮上。そのまま坂出を急追して1500m手前で一気に捉えると、あとは安心して見ていられるレース運び。余裕を持って決勝進出を決めた。

決勝レース。さすがにココまで来ると後半勝負で簡単に抜ける相手はいない。しかもスタートから大きく離される展開になってしまう。レースごとに調子を上げるいつものパターンも、前半の差が大きすぎて逆転のきっかけがつかめない。風も強まり波に翻弄されたままゴール。無念の最下位であった。


男子ダブルスカル 岡谷東高校・高木良選手/林利洋選手
昨年の県選抜クオドルプルで国体出場を経験した2年生、高木と林のコンビである。
高木は恵まれた体格を活かしたパワーが持ち味でエルゴも県内トップを争う。クルーの特徴は一言でいうなら「荒削り」。秋の中部高校選抜は、4枠の最後になんとか滑り込んでの出場権獲得であったが、冬場に鍛えた体力で「粘って抜く」をテーマに目標の入賞を確保した。

レースはまず予選をいい形で通過することが第1のポイント。目標よりも高いレートで漕ぎきって力のある関西を押さえて2位通過。天野監督[写真右]は「ペースが早すぎて漕ぎが荒い」と評したものの、2000mを高いペースで漕ぎ切れたことが自信になった。
準決勝の組み合わせは、予選で敗れた日田三隈と、昨秋の中部選抜で負けている小浜水産が相手。ここが入賞への最大の関門だ。予選タイムでは小浜を上回るが、コンディションが違えばあてにはならない。

不安を感じてのスタートだったが、出遅れることなく最初は横一線。そこから徐々に小浜水産が視界に入ってきた。1000mで日田三隈まで1艇身。小浜には水をあけてリードを奪い、「このままいければ・・」と不安が自信に変わりはじめる。積極的に日田三隈を追って1500mで2位以内=入賞圏内を確信。余裕を持ってゴールした日田三隈には届かなかったものの、目標の入賞を確定した。

順位決定戦は、風で荒れたコンディション。今日2本目という疲れも感じられず、調子はまずまず。ここで一つでも上を目指したい。あわよくば決勝よりも好タイムを狙うぞ、という意気込みであったが・・・・
1000mまでは少し遅れながらも、普段の力からすれば十分に逆転できる範囲内。しかしラストの500mでレートばかりが上がって空回りしてしまい、逆に失速して大きく離されてしまった。


 この全国選抜大会で、朝倉選手の成績は長野県勢1Xの過去最高。全種目を通じても過去最高タイとなる。2種目の決勝進出は第3回大会以来11年ぶり(1992年の岡谷南M4+準優勝,諏訪清陵W4+4位)。3種目の入賞は初めての快挙。

 近年、高校クルーの著しいレベル向上に乗り遅れた感のある長野県勢も、小粒ながらピリリとしまったセンスある選手が育ってきていると実感した大会であった。とりわけ朝倉選手の活躍は、「ボートは体格やエルゴだけでは決まらない」ことを地元の仲間に強く印象づけることになるだろう。この勢いを諏訪湖全体に広げて充実したシーズンを目指したいものだ。

 男女のダブルスカルは、本当の勝負所でそのポテンシャルを発揮できずに終わった感がある。しかしシーズン開幕直後のこの時期に、十分な水上練習もできないまま乗り込んできたことを考えれば決して悲観するようなレース内容ではなかった。冬場に積み重ねた土台だけで入賞を果たせたこと、そしてこのレースで感じた悔しい気持ちを次につなげることができれば、夏にはもっと上が狙えるはずだ。

「2000mという距離を漕げたことで自信がついた」と話す高木選手の言葉通り、それは確かに今回の最大の収穫に違いない。

◆朝倉(諏訪実)が2位◆
ボート全国高校選抜
ボートの全国高校連接大会は23日、静岡県天竜市の天竜ボート場(二千メートル)で男女6種目の準決勝と順位決定戦、決勝を行った。県勢は男子シングルスカルの朝倉大貴(諏訪実)が準優勝を果たした。同校クルーでの上位入賞は今回が初めて。岡谷東の女子ダブルスカル(野村清香、直井希望)は4位、同男子ダブルスカル(高木良、林利洋)は8位だった。

 朝倉は予選から敗者復活戦に回り決勝進出。決勝では、予選で負けた日田三隈(大分)などを破り、1位の銚子西(千葉)と約1秒差でゴールした。

 女子ダブルスカルは決勝の岡谷東は、序盤から追いかける展開。波でバランスを崩すなどし4位にとどまった。順位決定戦の男子ダブルスカルは中盤から他3クルーとの差が徐々に広がり、粘れなかった。

<写真>準優勝した男子シングルスカルの朝倉大貴(諏訪実)

(長野日報:2003年3月24日掲載)

関連記事(諏訪市長表敬訪問)はこちら


おまけ:今大会の好成績で「世界ジュニア代表候補選手」として強化合宿への参加が決定してビックリ仰天w(@@)wの朝倉選手

小川先生:「おい朝倉、おまえなぁ
   ・・・まだ諏訪には帰れないんだ」

朝倉:「・・・?」
まだ事態がよく飲み込めてない大貴くん(笑)

『チビッコ・たいきくんのジュニア強化合宿日記』

3月23日(日)

合宿に参加することになってまだ実感がない朝倉です。徐々にみんなと仲良くなってきました。ちなみに誰一人としてアドレス聞いてないです(; ;)
練習は明日の9:30からで今日は片付けだけでした。
泊まってる宿は綺麗です。電波状況もいいです。[宿舎は会場横の「湖畔の家」]
なんだかみんなはいろんなこと慣れててテキパキ動いてるのに一人だけカクカクしてました。もういっぱいいっぱいです。精神的に疲れまくってます。だって大会終わって、やったー!2位だー!さぁ!帰れるぞー♪ってときに先生から合宿参加の話がきて…この辛さ…わかってくれますよね?[ワカリマセン・・・]

嬉しい半面、帰れない…ってゆう死の宣告…ある意味拷問です(; ;)でもまぁ嬉しいですね♪チビッ子でも勝てる!体重軽くても関係ない!頑張れば結果はついてくる!ってことが証明できましたから(^^)俺のことを「チビッ子」と呼ぶS藤先生に感謝です。それとみなさまの応援のおかげです。ありがとうございましたm(_ _)mなんとか全国2位になれました!本人ビックリしてます(^^;ましてや今回の強化合宿…ねぇ…もう大変!

おぉっと消灯時間が過ぎたので今日はここまで!ではまた明日(^0^)/
目指せ!カメラ付きケータイの友達!


3月24日(月)
ごめんなさいm(_ _)m昨日ケータイ片手に寝てました(^^;今から送ります。

只今5:43花粉症の友達の鼻をかむ音で目が覚めました。ん〜さわやかだ(笑)
ちなみに起床時間は6:30です(^^;もうちょっと寝ます。
9:30から練習開始。でも今回はリギングの確認などで軽〜く7km漕いだだけでした。
13:10…初めてのアドレスGET\(^0^)/(1人だけ)でもカメラ付きじゃないらしい(^^;
2:30ミーティングをやりました。テーマはいかに有効なDPS『D…ディスタンス(スペルわかりません♪)・距離。P…Per・〜あたりの。S…ストローク(スペル…)・ひと漕ぎ』をのばしいくか?だったハズです。
[Distance per Strokeデスネ? こちらもどうぞ]
後は大林コーチがおっしゃったこととほとんど同じでした。

ミーティングの後4×が1艇と2×が3艇のクルーを組んで練習しました。自分は2×のストロークをやりました。久々の2×でしたがなんとか練習メニューをこなし無事に生還できたことがなによりでした(笑)

ある程度予測していた事態がおこりました。
「お前、俺の『後輩』に似てるんだよなぁ〜」
「なんか『弟』に見えてきた」
みなさん…僕はみんなと『同い年』です(^^;
OK!大丈夫!これは予測してた事だ!落ち着け自分!だから…
たまにみんなに対して『敬語』使うのは止めるんだ!(笑)
どーしても初対面の人がたとえ同い年でも敬語を使ってしまうこの体質…
みんなもう初対面じゃないだろ!(笑)
頑張れ自分!負けるな自分!チビッ子でもいいじゃないか!たとえこの身を軽々と持ち上げられたとしても…(; ;)

[ということで早くも合宿仲間のおもちゃ?マスコット?アイドル?と化しているようです。がむばれタイキ!]


3月25日(火)
今日は雨です。花粉症の友達が隣で喜んでます(笑)そのため午前の練習は乗艇できずに夜やる予定のミーティングをやりました。世界について熱く語ってくださいました。そのとき、世界選手権のビデオを見たんですが…
「手前の日本の選手より奥の選手の方が大きく見えるだろ。(中略)でも…朝倉身長何cmだっけ?」
「165です」
「この身長の朝倉でも2位になれるんだからな」

いや〜見本になっちゃってますねぇ〜自分(笑)なんだか嬉しいのやら恥ずかしいのやら…(^^;

話は変わるんですが…今日の昼飯が「カツ丼」だったんですが…
なぜか僕のだけ『衣だけで中味の肉がない』状態だったんです(; ;)かろうじてすみっこだけ入ってたのが唯一の救いでした(笑)
それに気付いたとき『いぢめか!?』と思いました(ウソです)そして部屋に戻ってちょっぴり…『泣きました』(これもウソです)

死の宣告(今は宣告されてよかったです)からもう3日目です。とっっても仲のいい友達ができました。『加茂くん』です。いい人です。僕のことを『後輩』に似てると言った人です。「俺の名前出してよ」って言われたんで書きました(^^;でもほんといい人です。でも本当は…言えないなぁ(笑)


3月26日(水)
今日の練習も2×に乗りました。でもコースを一周したあたりからストレッチャーが緩みだしてきたんで、桟橋で直してたら「そのまま待ってろ」と言われたんで「うちらもう出るなってことかな?(笑)」「そしたら俺泣くよ(笑)」などと雑談しながら待っていると…4×に乗ることになりました(^^;しかもストロークに…足でラダーを操るのが大変でした。いっぱいいっぱいです。しかもリギングが前に乗ってた友達のままだったので…フィニッシュをするたび、『毎回』腹切り状態(; ;)ボクサーのパンチのように腹にオールがビシバシと…(; ;)
もう痛くて痛くて(; ;)でも途中で艇をあげろと言われて助かりました。その一言を言ってくれた先生は天使に見えました(笑)黒い羽根のはえた天使じゃなきゃいいんですがね(^^;

午後の練習が終わった後、友達とどんな練習してるのかという話で盛り上がりました。Ergo大好きの先生がいるとか、Ergoの2000m測定をやってるとき、先生が後ろに座ってて恐いとか、おいおい辛いなそりゃってメニューをやってるとか…いろいろ話しました。うちらより多く練習してるのかしてないのかよくわからなかったんですが…とにかく凄そうです。

明日はとうとう最終日です。2000mを一本やります。全員1×でやるんですが…負けられないですねぇ(^^;頑張らないと…はぁ…しんどい…

あと、気になったんですが…方言ってうつるもんなんですかねぇ?(発音のしかたとか…)だんだん自分がなまっていくのがよくわかる…(笑)
[方言は伝染しますよん。特に関西弁はね(^^;; 東北弁は・・・マスターするのムズカシイです。がむばれタイキ☆都会(ってドコやねん?)の空気に染まるんぢゃないぞ!]


3月27日(木)
2000mタイムトライアル!
9:30から20秒おきに一人ずつスタート!さっそくブイに当たっちゃった(; ;)しかも3回(笑)
結果は3位(^^;あ゛ーしくじった!ブイに当たらなかったらなぁ…まぁしょうがない!終わったことだし♪次頑張ろう次!(笑)

お昼はカレーでした♪合宿の最終日はどこも決まってカレーなんですかね?(笑)
[そういえば諏訪湖の合宿もいつもカレーやね^^;]

食べ終わって食器を片付けていると、みんなの声がしなくなり、誰か一人の声だけがするんで振り返ってみると…閉講式始まってやんの!(笑)焦って席に戻りました(^^;女子に笑われました。恥ずかしいなぁもぉ(>_<)

まぁそんなこんなで今回の合宿が終わりました。みなさんお疲れさんでしたm(_ _)m
この場をかりてこのHPを見てくれた合宿参加者のみんなに一言…『お世話になりました。またどこかの大会で僕を見掛けたら声掛けてあげて下さい。チビッ子だから探しづらいと思いますが(笑)』

今この体験記を書きながら帰路についてます。今思い起こせばほんとビックリですね(^^;
さっきまで合宿に参加してたなんて…なんだか信じられません(笑)いい経験になりましたよ☆でもいい経験『だった』で終わらせちゃいけませんね。これからですよ!

これから今回の合宿の経験をどう生かしていくかですね!

あ゛ー…どう終わりにしたらいいのかわからないんで気になった看板をご紹介♪
【駐車スペースなんてまったくない谷合の道にて…】
『車上荒らし多発中ご注意ください』
すみません、どこに車停めろってんですか?(笑)荒らされる以前の問題だと思うんですが…[山ん中ってことは、天竜川沿いにさかのぼって来たってコトですか?ゴクロウサマ]

ごめんなさい。こんな勢いでこの体験記終わりにしますm(_ _)m
文の表現等で不適切なものがありましたらなんなりと指摘してくださいまし。その他の苦情は一切受け付けません。看板をあそこに置いた人なら可(笑)

では。
[あのーーー、結局、写真が一枚もないんですけどー(笑)]

(ということで連載終了☆次の企画にご期待くださひ)


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